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コラム

2025.08.13

猫背が治らない人に共通する「呼吸が使えていない」問題

肩こり・猫背・巻き肩改善のため肩甲骨を動かすピラティスを行う女性

「姿勢を意識しているのに、気づくと背中が丸まっている」

「ストレッチや整体を受けても、すぐ猫背に戻ってしまう」

そんな経験はありませんか?

多くの方は、

猫背=背中の問題・筋力不足・姿勢意識の弱さ

だと思っています。

しかし、臨床現場で猫背の方を見ていると、

ほぼ必ず共通している“ある問題”があります。

それが、

「呼吸が姿勢を支える役割を果たしていないこと」です。

この記事では、

なぜ呼吸が猫背と深く関係しているのか

なぜ姿勢を意識しても治らなかったのか

理学療法士の視点から、わかりやすく解説します。


猫背は「姿勢の問題」ではなく「支えられない体」の状態

猫背と巻肩の姿勢比較イラスト

猫背というと、

  • 背中が丸い
  • 肩が前に出ている
  • 首が前に突き出ている

といった「見た目」をイメージしがちです。

しかし、猫背の本質はそこではありません。

猫背の正体は、

背骨を安定させる仕組みが働いていない状態です。

実際、近年の研究では、猫背を含む姿勢不良が

・筋肉のアンバランス
・血流の低下
・神経への圧迫

を引き起こし、肩こりや腰痛、慢性的なだるさ・倦怠感を助長することが示されています。

つまり猫背は「見た目の問題」ではなく、身体の機能低下や不調の慢性化と深く関わる状態なのです
(Kendall et al., Muscles: Testing and Function, 2019)。

そしてその仕組みの中心にあるのが

呼吸です。


呼吸は「酸素を吸う動作」ではない

多くの人が誤解していますが、

呼吸は単に酸素を取り入れるための行為ではありません。

呼吸は体幹を内側から支える運動

呼吸は、

  • 横隔膜
  • 腹横筋
  • 多裂筋
  • 骨盤底筋

といった体幹のインナーマッスルと連動して行われる運動です。

特に横隔膜は、

体幹を上からフタのように支える非常に重要な筋肉です。

正しく呼吸が使えていると、

  • 体幹の内圧が高まる
  • 背骨が内側から支えられる
  • 無理なく姿勢を保てる

という状態が自然に作られます。

つまり姿勢は、

筋トレで無理に保つものではなく、呼吸圧で支えられているのです。


猫背の人に多い「呼吸できているつもり」問題

肩甲骨を動かすピラティスを行う女性

猫背の方に呼吸をチェックすると、

多くの方がこう言います。

「呼吸はちゃんとできています」

しかし実際に体を評価すると、

  • 肋骨がほとんど動かない
  • 横隔膜が下がらない
  • お腹が膨らまず、胸や肩だけが上下する

いわゆる首・肩で吸う浅い呼吸になっているケースが非常に多いです。

浅い呼吸が姿勢を崩す理由

この呼吸パターンでは、

  • 僧帽筋や首周りが常に緊張する
  • 肩がすくみやすくなる
  • 頭が前に突き出やすくなる

結果として、

猫背を助長する姿勢パターンが無意識に作られてしまいます。


なぜ猫背の人は呼吸が浅くなるのか

猫背と呼吸の浅さは、偶然ではありません。

胸郭(肋骨)が潰れている

猫背姿勢では、

肋骨が下がり、前後に潰れた状態になります。

この状態では、

横隔膜が十分に上下できず、自然な呼吸が行えません。

肩甲骨の位置が崩れている

肩甲骨が前に引き出され、前傾・外転すると、

肋骨の動きはさらに制限されます。

肩甲骨と胸郭は連動して動くため、

肩甲骨が安定しないと呼吸も浅くなります。

体幹の安定性が低下している

腹部の安定性が低下すると、

  • 呼吸と同時に体幹を保てない
  • 背骨を内側から支えられない

結果として、

体は呼吸と姿勢を切り離して処理するようになります。


呼吸が変わらない限り、猫背は必ず戻る

ここが最も重要なポイントです。

  • ストレッチしても戻る
  • 整体で整えても戻る
  • 姿勢を意識すると疲れる

これらの原因は、すべて同じです。

👉 呼吸が変わっていないから

一時的に姿勢を整えても、

呼吸が浅いままでは体幹は支えられません。

体は最終的に、

「一番楽な位置」=猫背姿勢に戻ってしまいます。


呼吸が変わると、姿勢は頑張らなくても変わる

正しく呼吸が使えるようになると、

  • 体幹が自然に安定する
  • 肩甲骨が落ち着く
  • 背骨がスッと伸びやすくなる

「姿勢を良くしよう」と意識しなくても、

姿勢が崩れにくい体が作られます。

実際、呼吸へのアプローチが姿勢改善につながることは研究でも示されています。

韓国・漢陽大学によるランダム化比較試験(2021)では、
猫背・巻き肩傾向のある被験者に対し、週2回・4週間のピラティス介入を行った結果、

・胸式呼吸の改善
・酸素摂取量の向上
・姿勢指標の有意な改善

が認められました。

胸郭が前方に傾き、肋骨が広がらない姿勢では呼吸が浅くなりますが、
呼吸機能が回復することで、姿勢そのものも改善していくことが示唆されています。

これが、

猫背改善において呼吸が最優先される理由です。


猫背改善には「呼吸を含めた再教育」が必要

とはいえ、

  • 自分の呼吸が正しいか
  • どこが使えていないのか
  • 姿勢とどう連動しているのか

これを一人で判断するのは簡単ではありません。

臨床現場では、

  • 肩甲骨の使い方
  • 体幹の安定性
  • 姿勢のイメージ
  • 視覚・バランス感覚

など、複数の要素が同時に関係しているケースがほとんどです。

猫背が治らない人には、

いくつかの共通した身体の特徴があります。

なぜ猫背は治らないのか?理学療法士が現場で必ず見る6つの共通点


猫背を根本から整えるために知っておいてほしいこと

猫背は、

  • 意識が足りないから
  • 筋トレが足りないから

起きているわけではありません。

多くの場合、

呼吸が姿勢を支える役割を失っていることが根本原因です。

「いろいろ試したけど変わらなかった」

「自分は重症かもしれない」

そう感じている方ほど、

まずは呼吸という視点から体を見直すことが大切です。

猫背の全体像や、

なぜストレッチだけでは治りにくいのかについては、

こちらの記事で詳しく解説しています。

猫背の原因と正しい改善方法|ストレッチだけでは治らない理由を理学療法士が解説

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