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コラム

2025.12.25

猫背改善は何から始めるべき?理学療法士が勧める「正しい順番」と体の使い方の話

「姿勢を意識しているのに、気づくと背中が丸まっている」

「ストレッチやトレーニングをしているのに、猫背が全然変わらない」

猫背で悩んでいる方の多くが、こうした違和感を抱えています。

そしてほとんどの方が、

「筋力が足りないのかな」「もっと頑張らないといけないのかな」

と考えてしまいます。

ですが、臨床の現場で実際に体を見ていると、

猫背が治らない人には、ある共通点があります。

それは――

「本来使うべき筋肉を、正しく使えなくなっている」ということです。

この記事では、

  • なぜ猫背の人は筋肉を“使えなく”なるのか
  • 姿勢改善で本当に大切な「順番」とは何か
  • 体の仕組みを理解すると、なぜ効果が変わるのか

を、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。


猫背の人は「筋肉が弱い」のではなく「使えなくなっている」

まず大前提として知っておいてほしいことがあります。

猫背の人は、

筋肉がないわけでも、怠けているわけでもありません。

むしろ多くの場合、

  • 外側の筋肉は過剰に頑張っている
  • 内側で支える筋肉が働いていない

というアンバランスな状態になっています。

本来、姿勢は

「背筋をピンと伸ばす力」で保つものではありません。

体の内側から

自然に支えられて“保たれている状態”が、良い姿勢です。

猫背の人は、この「内側で支える仕組み」がうまく働いていないため、

姿勢を意識すればするほど疲れ、結局元に戻ってしまうのです。


使われない筋肉は、感覚が分からなくなる

ここがとても重要なポイントです。

人の体は、

使っていない筋肉ほど「感覚」が分からなくなります。

猫背の方に多いのが、

  • 「力を入れているつもり」
  • 「ちゃんとやっているつもり」

なのに、

実際には使うべき筋肉がほとんど働いていないケースです。

特に姿勢を支える筋肉は、

  • 目で見えない
  • 力を入れた感覚が分かりにくい
  • 日常生活で意識する場面が少ない

という特徴があります。

そのため、

使っていない → 分からない → さらに使えなくなる

という悪循環に陥りやすいのです。


猫背の人が本来使うべき筋肉とは?

猫背改善というと「背中の筋肉」をイメージしがちですが、

実際に重要なのはそこではありません。

姿勢を支える中心は、次のような筋肉です。

  • 腹横筋(お腹をコルセットのように支える筋肉)
  • 横隔膜(呼吸と体幹安定の要)
  • 多裂筋(背骨を細かく支える深層筋)
  • 前鋸筋・僧帽筋下部(肩甲骨を安定させる筋肉)

これらはすべて、

「姿勢を内側から支えるための筋肉」です。

猫背の人は、

これらがうまく連動せず、

代わりに首・肩・背中の表面の筋肉で姿勢を保とうとします。

結果として、

  • 首こり・肩こり
  • すぐ疲れる
  • 姿勢を維持できない

といった状態が起こります。


なぜ猫背の人は、これらの筋肉を使えなくなるのか

理由はとてもシンプルです。

① 同じ姿勢が長すぎる

長時間のデスクワークやスマホ操作によって、

体は「楽な姿勢」を記憶します。

その楽な姿勢こそが、猫背姿勢です。

② 骨盤・肋骨・肩甲骨の位置関係が崩れる

姿勢は一部分ではなく、

全身の位置関係で決まります。

どこかがズレると、

本来働くはずの筋肉は使われなくなります。

③ 感覚が鈍くなる

使われない筋肉は、

「そこにあること」すら感じにくくなります。

これが、

「どう動かせばいいか分からない」状態です。


姿勢改善で本当に大切なのは「筋肉のつき方」をイメージすること

ここで、多くの人が見落としている視点があります。

それは、

筋肉を“力”ではなく“役割”でイメージすることです。

姿勢を支える筋肉は、

  • 盛り上がる
  • 力強く動く

というよりも、

  • 支える
  • 広がる
  • 連動する

といった働きをします。

自分の体の中で、

  • どこが支柱になっているのか
  • どこが土台なのか
  • どこがブレーキ役なのか

この「体の地図」を理解するだけで、

同じエクササイズでも効果は大きく変わります。


イメージが変わると、エクササイズの効果は一気に変わる

臨床でもよくあるのが、

  • 同じ動きをしているのに
  • ある瞬間から急に姿勢が変わる

というケースです。

これは筋力が急についたわけではありません。

「どこを使うか分かった瞬間」に、

体の使い方が変わっただけです。

姿勢改善は、

  • 頑張ること
  • 追い込むこと

ではなく、

「正しく使えるようになること」が最優先なのです。


だから猫背改善は「理解 → 感覚 → エクササイズ」の順番が重要

猫背改善で遠回りしてしまう人の多くは、

いきなり

  • ストレッチ
  • トレーニング
  • 姿勢意識

から始めてしまいます。

ですが本来は、

  1. 体の仕組みを理解する
  2. 使うべき筋肉の感覚を取り戻す
  3. その上でエクササイズを行う

この順番が欠かせません。

なぜストレッチだけでは猫背が戻ってしまうのか、

なぜ意識しても続かないのかについては、

こちらの記事で全体像を詳しく解説しています。

猫背の原因と正しい改善方法|ストレッチだけでは治らない理由を理学療法士が解説


猫背を根本から変えたい人に知っておいてほしいこと

猫背は、

  • 意識が足りないから
  • 努力が足りないから

起きているわけではありません。

多くの場合、

「使うべき筋肉の感覚を失っているだけ」です。

正しい順番で体と向き合えば、

その感覚は必ず取り戻せます。

「いろいろ試したけど変わらなかった」

「自分はもう治らないかも」

そう感じている方ほど、

一度立ち止まって、

体の仕組みから見直すことが大切です。

姿勢は、努力ではなく“理解と再教育”で変わります。

猫背改善のスタート地点として、

この記事がそのヒントになれば幸いです。

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