「姿勢を意識しているのに、気づくと背中が丸まっている」
「ストレッチやトレーニングをしているのに、猫背が全然変わらない」
猫背で悩んでいる方の多くが、こうした違和感を抱えています。
そしてほとんどの方が、
「筋力が足りないのかな」「もっと頑張らないといけないのかな」
と考えてしまいます。
ですが、臨床の現場で実際に体を見ていると、
猫背が治らない人には、ある共通点があります。
それは――
「本来使うべき筋肉を、正しく使えなくなっている」ということです。
この記事では、
- なぜ猫背の人は筋肉を“使えなく”なるのか
- 姿勢改善で本当に大切な「順番」とは何か
- 体の仕組みを理解すると、なぜ効果が変わるのか
を、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。
CONTENTS
猫背の人は「筋肉が弱い」のではなく「使えなくなっている」
まず大前提として知っておいてほしいことがあります。
猫背の人は、
筋肉がないわけでも、怠けているわけでもありません。
むしろ多くの場合、
- 外側の筋肉は過剰に頑張っている
- 内側で支える筋肉が働いていない
というアンバランスな状態になっています。
本来、姿勢は
「背筋をピンと伸ばす力」で保つものではありません。
体の内側から
自然に支えられて“保たれている状態”が、良い姿勢です。
猫背の人は、この「内側で支える仕組み」がうまく働いていないため、
姿勢を意識すればするほど疲れ、結局元に戻ってしまうのです。
使われない筋肉は、感覚が分からなくなる
ここがとても重要なポイントです。
人の体は、
使っていない筋肉ほど「感覚」が分からなくなります。
猫背の方に多いのが、
- 「力を入れているつもり」
- 「ちゃんとやっているつもり」
なのに、
実際には使うべき筋肉がほとんど働いていないケースです。
特に姿勢を支える筋肉は、
- 目で見えない
- 力を入れた感覚が分かりにくい
- 日常生活で意識する場面が少ない
という特徴があります。
そのため、
使っていない → 分からない → さらに使えなくなる
という悪循環に陥りやすいのです。
猫背の人が本来使うべき筋肉とは?
猫背改善というと「背中の筋肉」をイメージしがちですが、
実際に重要なのはそこではありません。
姿勢を支える中心は、次のような筋肉です。
- 腹横筋(お腹をコルセットのように支える筋肉)
- 横隔膜(呼吸と体幹安定の要)
- 多裂筋(背骨を細かく支える深層筋)
- 前鋸筋・僧帽筋下部(肩甲骨を安定させる筋肉)
これらはすべて、
「姿勢を内側から支えるための筋肉」です。
猫背の人は、
これらがうまく連動せず、
代わりに首・肩・背中の表面の筋肉で姿勢を保とうとします。
結果として、
- 首こり・肩こり
- すぐ疲れる
- 姿勢を維持できない
といった状態が起こります。
なぜ猫背の人は、これらの筋肉を使えなくなるのか
理由はとてもシンプルです。
① 同じ姿勢が長すぎる
長時間のデスクワークやスマホ操作によって、
体は「楽な姿勢」を記憶します。
その楽な姿勢こそが、猫背姿勢です。
② 骨盤・肋骨・肩甲骨の位置関係が崩れる
姿勢は一部分ではなく、
全身の位置関係で決まります。
どこかがズレると、
本来働くはずの筋肉は使われなくなります。
③ 感覚が鈍くなる
使われない筋肉は、
「そこにあること」すら感じにくくなります。
これが、
「どう動かせばいいか分からない」状態です。
姿勢改善で本当に大切なのは「筋肉のつき方」をイメージすること
ここで、多くの人が見落としている視点があります。
それは、
筋肉を“力”ではなく“役割”でイメージすることです。
姿勢を支える筋肉は、
- 盛り上がる
- 力強く動く
というよりも、
- 支える
- 広がる
- 連動する
といった働きをします。
自分の体の中で、
- どこが支柱になっているのか
- どこが土台なのか
- どこがブレーキ役なのか
この「体の地図」を理解するだけで、
同じエクササイズでも効果は大きく変わります。
イメージが変わると、エクササイズの効果は一気に変わる
臨床でもよくあるのが、
- 同じ動きをしているのに
- ある瞬間から急に姿勢が変わる
というケースです。
これは筋力が急についたわけではありません。
「どこを使うか分かった瞬間」に、
体の使い方が変わっただけです。
姿勢改善は、
- 頑張ること
- 追い込むこと
ではなく、
「正しく使えるようになること」が最優先なのです。
だから猫背改善は「理解 → 感覚 → エクササイズ」の順番が重要
猫背改善で遠回りしてしまう人の多くは、
いきなり
- ストレッチ
- トレーニング
- 姿勢意識
から始めてしまいます。
ですが本来は、
- 体の仕組みを理解する
- 使うべき筋肉の感覚を取り戻す
- その上でエクササイズを行う
この順番が欠かせません。
なぜストレッチだけでは猫背が戻ってしまうのか、
なぜ意識しても続かないのかについては、
こちらの記事で全体像を詳しく解説しています。
▶ 猫背の原因と正しい改善方法|ストレッチだけでは治らない理由を理学療法士が解説
猫背を根本から変えたい人に知っておいてほしいこと
猫背は、
- 意識が足りないから
- 努力が足りないから
起きているわけではありません。
多くの場合、
「使うべき筋肉の感覚を失っているだけ」です。
正しい順番で体と向き合えば、
その感覚は必ず取り戻せます。
「いろいろ試したけど変わらなかった」
「自分はもう治らないかも」
そう感じている方ほど、
一度立ち止まって、
体の仕組みから見直すことが大切です。
姿勢は、努力ではなく“理解と再教育”で変わります。
猫背改善のスタート地点として、
この記事がそのヒントになれば幸いです。
