column

コラム

2025.12.26

デスクワークの人ほど猫背が治りにくい理由|理学療法士が見る“感覚が失われる体”

「ストレッチもしているし、姿勢も意識している」

「でも仕事に戻ると、気づけばまた猫背になっている」

デスクワーク中心の方から、こうした声をよく聞きます。

実はこれ、

意識が足りないわけでも、努力が足りないわけでもありません。

デスクワークという生活そのものが、

猫背を“治りにくくする条件”をいくつも作ってしまっているのです。


「ちゃんと意識しているのに治らない」デスクワーク猫背の正体

猫背がなかなか改善しない方の多くは、

「姿勢を正そう」と一生懸命です。

それでも戻ってしまうのはなぜか。

理由はシンプルで、

体が“正しい姿勢を感じ取れなくなっている”状態だからです。

特にデスクワークが長い方ほど、この状態に陥りやすくなります。


デスクワークが続くと「正しい姿勢がわからなくなる」

長時間座っていると、体に感覚が入らなくなる

座りっぱなしの姿勢では、

  • 体重のかかり方が変わらない
  • 関節の位置がほとんど動かない
  • 筋肉が同じ緊張パターンを繰り返す

という状態が続きます。

すると、脳は

「今、体がどうなっているか」を感じ取る必要がなくなってしまいます。

これがいわゆる

姿勢の感覚が鈍くなった状態です。

骨盤を起こす・背骨を伸ばす感覚が消えていく

猫背の方に

「骨盤を立ててみましょう」

「背骨をまっすぐにしてみましょう」

と伝えると、

「それが正解なのか分からない」

「どこが動いているのか分からない」

と言われることが少なくありません。

これは「できない」のではなく、

体の位置を感じるセンサーが弱くなっている状態です。


視線が固定されると、姿勢はどんどん崩れていく

画面を見る生活は、眼球運動を止めてしまう

デスクワーク中、多くの人は

  • 画面を見続ける
  • 視線がほぼ一点に固定される
  • 周囲を見る動きが減る

という状態になっています。

実は、

目の動き(眼球運動)は姿勢制御と深く関係しています。

視線が動かない生活は、

姿勢を調整する神経の働きも単調にしてしまいます。

眼球運動が減ると、姿勢制御も単調になる

人の体は、

  • 体幹

を連動させて姿勢を保っています。

視線が動かなくなると、

体全体の動きも止まりやすくなり、

結果として

前かがみ姿勢が“固定化”しやすくなるのです。


頭を動かさない生活が、バランス感覚を弱くする

デスクワークでは前庭機能が使われにくい

長時間のデスクワークでは、

  • 頭の位置がほぼ固定
  • 上下左右に動かす機会が少ない

という状態が続きます。

これは、

バランスを司る前庭機能がほとんど使われない生活とも言えます。

バランス感覚が弱いと、体は前に倒れやすくなる

前庭機能が弱くなると、

  • 体を起こしておくのが疲れる
  • 安定する位置を前に求めやすくなる

結果として、

頭が前に出た猫背姿勢の方が“楽”に感じるようになります。


首の奥が緊張し続けると、姿勢センサーが鈍くなる

目線を上げるほど緊張する「後頭下筋群」

前かがみ姿勢のまま画面を見ると、

  • 頭は前に出る
  • 目線だけを上げて画面を見る

という状態になります。

このとき、

首の奥にある後頭下筋群が過剰に緊張します。

姿勢を感じ取るセンサーが疲れてしまう

後頭下筋群は、

筋紡錘(姿勢センサー)が非常に多い筋肉です。

常に緊張し続けると、

  • センサーが過剰に働く
  • 情報処理がうまくできなくなる

結果として、

自分の頭や首の位置が分かりにくくなる状態が起こります。

これも、猫背が治りにくくなる大きな理由です。


だからデスクワーク猫背は「意識」だけでは治らない

ここまでをまとめると、デスクワークの人は

  • 姿勢の感覚が鈍くなる
  • 視線・頭・体の連動が弱くなる
  • 姿勢センサーが疲れてしまう

という状態に陥りやすくなっています。

この状態で

「背筋を伸ばそう」「気をつけよう」としても、

体にとっては

何が正解か分からないまま頑張っている状態です。

だから、すぐ戻ってしまうのです。


デスクワークの人に本当に必要なのは「姿勢矯正」ではない

まず取り戻すべきは、姿勢の感覚

デスクワーク猫背の改善で最優先なのは、

  • 正しい位置を覚えること
  • 体で感じ直すこと

です。

形を整える前に、

感じられる体に戻すことが必要です。

視線・頭・体を一緒に動かす運動が必要

そのためには、

  • 呼吸
  • 視線の動き
  • 頭や体幹の連動

を含めた運動が欠かせません。

ここで初めて、

姿勢が「意識しなくても保てる」状態に近づいていきます。


「治す」より先に、「感じられる体」に戻すことから

デスクワークだから猫背が治らないのではありません。

デスクワークによって、

姿勢を感じる力が弱くなっていただけなのです。

猫背改善は、

  • 気合
  • 我慢
  • 根性

で行うものではありません。

なぜ治らなかったのかを知り、

正しい順番で体を整えることで、

デスクワークの方でも猫背は十分に変えていけます。

猫背改善の全体像や、

「何から始めるべきか」「順番を間違えるとどうなるか」については、

こちらの記事で詳しく解説しています。

猫背の原因と正しい改善方法|ストレッチだけでは治らない理由を理学療法士が解説

contact

ヘルスケアスタジオ イレ

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-25-17 CHIPTOWER 3F.4F

ACCESS
栄駅から徒歩9分
矢場町駅から徒歩5分
PHONE
050-1809-0711
OPEN
9:00 - 21:30