「出産してから、なんだか背中が丸くなった気がする」
「写真を見ると、妊娠前より姿勢が悪くなっている…」
そんなふうに感じている方は、実はとても多いです。
結論から言うと、
産後に猫背がひどくなるのは、サボりでも意識不足でもありません。
妊娠中に起きた姿勢の変化と、産後の体の回復スピードが噛み合っていないことが、大きな原因です。
この記事では、理学療法士の視点から
「なぜ産後に猫背がひどくなりやすいのか」
その共通点を、できるだけ分かりやすく解説します。
CONTENTS
産後に「急に猫背がひどくなった」と感じる人が多い理由
妊娠前は特に姿勢を意識していなかったのに、
産後になってから
・背中が丸くなった
・肩が前に出てきた
・首が前に突き出ている感じがする
こうした変化に気づく方は少なくありません。
これは「急に姿勢が悪くなった」のではなく、
妊娠中に起きていた変化が、産後に表に出てきたと考える方が自然です。
妊娠中、体にはどんな姿勢変化が起きているのか
お腹が前に出ることで起こる重心と骨盤の変化
妊娠が進むにつれて、お腹が前方に大きくなります。
それに合わせて体はバランスを取ろうとし、
・重心が前に移動
・骨盤が前後に傾きやすくなる
・腰や背中への負担が増える
といった変化が起こります。
これは「悪い姿勢」ではなく、
転ばないため・立って生活するための適応です。
胸郭・背骨・首の位置が変わる妊娠期の姿勢適応
お腹が前に出ると、
自然と背中は丸まりやすくなり、胸郭(肋骨)は下がります。
すると、
・肩が前に出る
・首が前に突き出る
・頭を支えるために首・肩の筋肉が緊張する
といった姿勢が“楽な姿勢”として選ばれるようになります。
腰痛を避けるために体が無意識に選ぶ姿勢
妊娠中は腰痛を感じる方も多く、
無意識に「痛くない姿勢」を探すようになります。
結果として、
・背中を丸める
・体を前に倒す
・体幹の力を使わない
といった姿勢が定着しやすくなります。
産後に猫背がひどくなる人の共通点①|姿勢は変わったのに、戻す準備ができていない
妊娠中、体は約10か月かけて少しずつ姿勢を変えていきます。
しかし出産後は、
「出産したから元に戻るはず」
「体重が戻れば姿勢も戻る」
と思われがちです。
実際には、
姿勢を戻すための再調整は、自然には起こりません。
妊娠中に適応した姿勢のまま、
その状態で育児が始まることで、猫背が固定されやすくなります。
産後に猫背がひどくなる人の共通点②|筋力低下と感覚低下が同時に起きている
妊娠・産後で落ちやすい筋肉
妊娠中〜産後にかけては、
・体幹の安定に関わる筋肉
・お尻や背中の筋肉
・骨盤周りの筋肉
が使われにくくなり、筋力低下が起こりやすくなります。
「筋力」だけでなく「姿勢の感覚」も鈍くなっている
ここで重要なのが、
筋力だけでなく「感覚」も低下しているという点です。
・背骨がまっすぐな位置が分からない
・骨盤を起こす感覚が分からない
・「良い姿勢」を取ろうとしても疲れる
こうした状態は、筋力不足というより
正しい位置を感じ取れなくなっている状態です。
産後に猫背がひどくなる人の共通点③|育児動作が猫背を固定してしまう
授乳・抱っこ・オムツ替えで前かがみが続く影響
産後の生活は、
・授乳
・抱っこ
・オムツ替え
・沐浴
など、前かがみ姿勢の連続です。
姿勢を整える余裕がないまま、
妊娠中に作られた姿勢で育児を続けることで、猫背が定着しやすくなります。
休む姿勢が少なく、回復の時間が取れない現実
睡眠不足や疲労が続く中で、
「姿勢を意識しよう」
「運動しなきゃ」
と思っても、体がついていかないのは当然です。
「姿勢を意識しても戻らない」理由は、努力不足ではない
産後に猫背が改善しない方の多くは、
頑張っていないのではなく、
頑張る方向が分からなくなっている状態です。
正しい姿勢が分からないまま意識しても、
・余計に首や肩が疲れる
・力が入りすぎる
・長く保てない
といった結果になりやすいのです。
産後の猫背改善で大切なのは「元に戻す」ではなく「再教育」
妊娠前の体に戻そうとしない方がいい理由
産後の体は、妊娠前とは別の状態です。
「元に戻す」のではなく、
今の体に合った姿勢と動き方を学び直すことが大切です。
呼吸・体幹・感覚を整える順番の考え方
いきなり筋トレやストレッチをするよりも、
・呼吸を整える
・体幹の安定感を取り戻す
・姿勢の感覚を取り戻す
この順番で進めることで、無理なく姿勢は変わっていきます。
産後の猫背を根本から整えるために知っておいてほしいこと
産後に猫背がひどくなったと感じていても、
遅すぎることはありません。
大切なのは、
「なぜ今の姿勢になっているのか」
「体がどんな適応をしてきたのか」
を知った上で、体を整えていくことです。
産後の姿勢に不安を感じている方へ
「このままで大丈夫かな」
「年齢的にもう戻らないかも」
そう感じている方ほど、
一度立ち止まって自分の体を知ることが、改善の第一歩になります。
産後の体は、とても頑張ってきた体です。
責める必要はありません。
