「反り腰だから、ハイヒールは履かない方がいいのかな」
「ヒールを履くと腰がつらくなるけれど、好きだからできれば履きたい」
そんな悩みがある方も多いと思います。
結論からいうと、反り腰だからという理由だけで、ハイヒールを一律にやめる必要はありません。
そして、よく言われる「ハイヒールを履くと骨盤が前に傾いて、必ず腰の反りが強くなる」という説明も、研究では一貫して確認されていません。
ハイヒールを履くことで足首や膝、骨盤、体幹の動きは変化しますが、腰椎のカーブがどう変わるかには個人差があり、研究によって結果も異なります。実際に、高いヒールで歩いたときに腰椎前弯が減少した研究も報告されています。
だから見るべきなのは、
「反り腰だからヒールは禁止」
ではありません。
ヒールを履いたときに、腰へ負担を集中させず立ったり歩いたりできるか。
そして、実際に腰痛や強い疲労が出ていないか。
ここを確認することが大切です。
結論|反り腰でもハイヒールを一律にやめる必要はない
反り腰の人でも、ハイヒールを履いて問題なく立ったり歩いたりできる人はいます。
一方で、
・ヒールを履くと腰がすぐ疲れる
・夕方になると腰が痛くなる
・前ももばかり張る
・胸を反らせないと立っていられない
という人もいます。
この違いを「反り腰の程度」だけで判断することはできません。
重要なのは、ヒールを履いたときに身体がどうバランスを取り、その結果としてどこへ負担が集中しているのかです。
反り腰そのものの原因や、骨盤・股関節との関係について知りたい方は、反り腰の原因と改善法|骨盤・股関節を整えるピラティスアプローチも参考にしてください。
「ハイヒールを履くと腰の反りが強くなる」とは限らない
ここは、反り腰とハイヒールについて特に誤解されやすいところです。
ハイヒールを履くと、かかとが高くなり足首は底屈した状態になります。
その変化に合わせて、膝・股関節・骨盤・体幹を含めた全身がバランスを調整します。歩行についてまとめたレビューでも、ヒールの高さによって下肢や体幹の運動学・筋活動が変化することが報告されています。
ただし、
「ヒールを履く」
↓
「骨盤が必ず前傾する」
↓
「腰椎前弯が必ず増える」
↓
「反り腰になる」
と全員が同じ変化をするわけではありません。
高いヒールで腰椎前弯が増加した研究がある一方、減少した研究や、大きな変化がみられなかった研究もあります。高いヒールと腰椎・骨盤の姿勢については、研究結果が一貫していないことが報告されています。
つまり、ハイヒールを履いているという事実だけでは、「反り腰の原因」とは判断できません。
それでもハイヒールで腰がつらくなる人がいる理由
では、なぜヒールを履くと腰がつらくなる人がいるのでしょうか。
ハイヒールを履くと足元の条件が変わります。
その状態でも倒れずに立ち、歩くために、身体は膝・股関節・骨盤・体幹を使って姿勢を調整します。
このとき、腰まわりの筋肉を強く使って身体を支える人もいます。
実際、ハイヒール歩行では、腰部脊柱起立筋の筋活動が増加した研究が報告されています。
つまり、
「腰のカーブが何度増えたか」
だけを見るのではなく、
「その姿勢を作るために、腰がどれだけ頑張っているか」
まで見る必要があります。
立った姿勢はそれほど反って見えなくても、ヒールを履いて歩くと腰まわりがずっと緊張していることもあります。
反対に、見た目には反り腰でも、ヒールを履いて症状が出ず、身体全体を使って歩けている人もいます。
反り腰でもハイヒールを履いていい?3つの判断基準
「結局、自分はヒールを履いていいの?」
と迷ったら、次の3つを確認してみてください。
1.ヒールを履くと腰痛や強い疲労が増えないか
まず最も分かりやすいのは、実際の症状です。
ヒールを履いた状態で、
・立っているだけで腰がつらくなる
・歩くほど腰痛が強くなる
・普段より明らかに腰が疲れる
・夕方になると毎回腰が痛くなる
という場合は、今のヒールの高さや履き方が身体に合っていない可能性があります。
反り腰に見えるかどうかより、この「実際に症状が変化するか」の方が重要です。
無理に「姿勢を良くしよう」として腰へ力を入れ続けないようにしましょう。
2.ヒールを履くと胸や腰を反らせないと立てないか
ヒールを履いた状態で鏡を見てみてください。
「きれいに立とう」とした瞬間に、
・胸を大きく張る
・みぞおちが前へ突き出る
・腰へ力が入る
・お尻を後ろへ突き出す
という姿勢になっていないでしょうか。
この場合、身体をまっすぐに見せるために、腰まわりで姿勢を作っている可能性があります。
特に反り腰が気になる人は、「胸を張れば姿勢が良くなる」と考えると、腰で上半身を起こしてしまうことがあります。
胸を張ることで腰の負担が増えてしまうタイプについては、胸椎伸展で反り腰を見直したビフォーアフター事例でも詳しく紹介しています。
3.履いたあとまで腰のつらさが残らないか
ヒールを脱いだあとも腰の張りや痛みが長く残る場合は、履いている時間や負荷を見直す目安になります。
「ヒールだから多少痛くても仕方ない」
と毎回我慢する必要はありません。
特に、
以前は平気だったのに最近つらくなった。
履ける時間がどんどん短くなっている。
ヒールを履いた翌日まで腰がつらい。
という場合は、単に靴だけを見るのではなく、立ち方や歩き方、股関節・胸郭など身体全体の動きを確認した方がよいでしょう。
自分でできる「ヒールを履いたときの姿勢チェック」
鏡があれば、簡単に確認できます。
まず普段の靴、または裸足で自然に立ちます。
そのときの、
・腰まわりの力み
・みぞおちの位置
・前ももの力
・立ちやすさ
を確認してください。
次にハイヒールを履きます。
同じように自然に立ち、その場で数回足踏みをしてみます。
このとき、
・腰へ急に力が入らないか
・胸を反らせないと立てない感じがないか
・前ももだけに力が集中していないか
・腰痛が出ないか
を比較します。
「腰を反らさないようにしよう」と無理に骨盤を丸める必要はありません。
チェックの目的は、正しい姿勢を作ることではなく、靴が変わったときに自分の身体がどう変化するのかを知ることです。
反り腰でヒールがつらい人が最初に見直したい3つのこと
ヒールの高さと履く時間を調整する
ヒールを履くこと自体をゼロにする必要はありません。
ただし、履くと毎回腰がつらくなるのであれば、まずは高さや履いている時間を減らして身体の反応を確認します。
「8cmがダメなら一生ヒールは無理」という話ではありません。
現在の身体で無理なく使える条件から試してみることが大切です。
「姿勢を良くしよう」と胸を張りすぎない
ヒールを履くとスタイルを良く見せようとして、胸を張り、腰まで反ってしまうことがあります。
このタイプでは、
「背筋を伸ばす」
ことよりも、
腰を強く反らなくても身体を支えられるか
を確認します。
肋骨・骨盤・股関節を含めて身体全体で立つことがポイントです。
腰だけでなく股関節・足首まで確認する
ハイヒールは足元の条件を大きく変える靴です。
そのため、腰だけストレッチしても解決しないことがあります。
足首がどう動いているか。
股関節を使って歩けているか。
片脚で身体を支えられるか。
胸郭が歩行に合わせて動いているか。
こうした全身の動きまで確認することで、「なぜヒールの日だけ腰がつらいのか」が分かりやすくなります。
反り腰を直すために「ヒール禁止」にするだけでは足りない
ヒールを履くと腰がつらい。
だからヒールを全部捨てる。
それで症状が軽くなるのであれば、一つの選択肢ではあります。
しかし、普段のスニーカーでも、
立つと腰を反る。
スクワットすると腰を反って身体を起こす。
歩くと股関節が動かず腰を使う。
という状態なら、ヒールをやめても身体の使い方そのものは残ります。
反り腰を見直したいのであれば、
「どの靴を履くか」
だけではなく、
「その身体でどう立ち、どう歩いているか」
まで確認することが重要です。
反り腰の原因を身体全体から整理したい方は、反り腰の原因と改善法|骨盤・股関節を整えるピラティスアプローチもご覧ください。
自宅で実際に身体を動かしてみたい方は、ピラティスで反り腰を改善|自宅でできるエクササイズ7選と正しい順番でも運動方法を紹介しています。
ハイヒールを履き続けたいなら「履ける身体」を目指す
反り腰が気になるからといって、好きなハイヒールをすべて諦めなければならないわけではありません。
一方で、腰痛を我慢しながら履き続ける必要もありません。
目指したいのは、
「反り腰だから履かない」
でも、
「痛くても我慢して履く」
でもなく、
ヒールを履いた状態でも腰だけに負担を集中させず、身体全体を使って立ち、歩けることです。
そのためには、姿勢の形だけを見るのではなく、実際にヒールを履いた状態で立ち方や歩き方を確認することが役立ちます。
名古屋・栄・矢場町で反り腰や姿勢を見直したい方へ
Healthcare Studio ileでは、反り腰を「骨盤が前に傾いているから戻す」といった一つの方法だけで整えることはしていません。
立った姿勢だけでなく、前屈・スクワット・片脚立ち・歩行など実際の動きを確認し、背骨・胸郭・骨盤・股関節がどのように連動しているかを見ます。
ハイヒールで腰がつらい方であれば、普段どのように立ち、歩いているのかまで確認することが大切です。
そのうえで、一人ひとりに必要な身体の使い方を練習する手段として、マシンピラティスやトレーニングを活用します。
反り腰・猫背など姿勢全体を見直したい方は、名古屋・栄で姿勢を動作から見直すパーソナルマシンピラティスもご覧ください。
「ヒールを履きたいけれど腰がつらい」
「自分の場合は何を直せばいいのか分からない」
という方は、靴を我慢する前に、一度ヒールを履いたときの身体の使い方を確認してみてください。
参考文献
- Wiedemeijer MM, Otten E. Effects of high heeled shoes on gait. A review. Gait & Posture. 2018;61:423-430. ハイヒールによる歩行時の運動学・筋活動などの変化をまとめたレビューです。
- Baaklini E, Angst M, Schellenberg F, et al. High-heeled walking decreases lumbar lordosis. Gait & Posture. 2017;55:12-14. 高いヒールでの歩行時に腰椎・胸椎のカーブが減少したことを報告した研究です。
- Schroeder J, Hollander K. Effects of high-heeled footwear on static and dynamic pelvis position and lumbar lordosis in experienced younger and middle-aged women. Gait & Posture. 2018;59:53-57. ハイヒールと骨盤位置・腰椎前弯の関係を検討した研究で、既存研究の結果が一貫していないことも指摘しています。
- Mika A, Oleksy Ł, Mika P, Marchewka A, Clark BC. The effect of walking in high- and low-heeled shoes on erector spinae activity and pelvis kinematics during gait. American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation. 2012;91(5):425-434. ヒール高と歩行時の腰部脊柱起立筋活動・骨盤運動を検討した研究です。
著者・監修者プロフィール
著者・監修者:水野豪司
理学療法士/Healthcare Studio ile 代表
姿勢や反り腰を見る際に、「骨盤が前傾している」「腰が反っている」といった静止した姿勢だけで判断するのではなく、背骨・胸郭・骨盤・股関節・足部まで含めた身体全体のつながりと、立つ・歩く・しゃがむといった実際の動作を確認することを大切にしています。
Healthcare Studio ileでは、一人ひとりの身体を評価したうえで、ピラティスやトレーニングを身体の使い方を変えるための手段として活用しています。
