「ヒップリフトをしているのに、お尻に効いている感じがしない」
「お尻を持ち上げるほど、腰やもも裏ばかり疲れる」
「ヒップアップしたくて続けているけれど、本当にやり方が合っているのか分からない」
そんな方は、回数を増やす前に動き方を確認してみてください。
結論からいうと、ヒップリフトがお尻に効かない理由を「反り腰だから」と一つに決めることはできません。
ただし、ヒップリフトで骨盤を持ち上げるときに、股関節を伸ばす代わりに腰を大きく反らせている人では、お尻を使いたい運動が腰の動きへ置き換わっていることがあります。
ほかにも、
足の位置が合っていない。
動く範囲が大きすぎる。
負荷が今の身体に合っていない。
「お尻が熱くなる感覚」だけで効いているか判断している。
など、確認したいポイントがあります。
この記事では、ヒップリフトがお尻に効かない4つの理由と、自分でフォームを見直す方法を理学療法士の視点から解説します。
ヒップリフトがお尻に効かない=反り腰が原因とは限らない
ヒップリフトでは、仰向けから骨盤を持ち上げるときに股関節を伸ばします。
この股関節伸展に関わる代表的な筋肉の一つが大殿筋です。
そのため、ヒップリフトはお尻を使う練習としてよく行われます。
実際、ブリッジ系エクササイズでは大殿筋を含む股関節・体幹周囲の筋活動が確認されています。ただし、フォームや条件を変えると、大殿筋だけでなくハムストリングスや背部の筋肉の活動も変化します。(Jang et al., 2024)
つまり、
「ヒップリフトという種目をしている=必ずお尻へ狙った負荷が入る」
というわけではありません。
また、
「お尻に効かない=必ず反り腰」
でもありません。
反り腰は確認するポイントの一つです。
大切なのは、ヒップリフトをしたときに実際に身体のどこで動きを作っているのかを見ることです。
反り腰そのものの原因については、反り腰の原因は骨盤前傾だけじゃない|身体の使い方から見直す改善法で詳しく解説しています。
ヒップリフトがお尻に効かない4つの理由
1.お尻を高く上げようとして腰を反っている
ヒップリフトで特に確認したいのが、
「どこまで高く上げられるか」
を目標にしていないかです。
骨盤を床から持ち上げていくと、途中までは股関節を伸ばすことで身体が上がります。
しかし、それ以上の高さを出そうとして、
胸を反らす。
肋骨が前へ出る。
腰のカーブを大きくする。
という動きが入ることがあります。
この場合、
「骨盤が高く上がった=股関節がしっかり伸びた」
とは限りません。
腰を反らせることで高さを追加している可能性があります。
特に普段から胸を張ると腰が反りやすい方では、ヒップリフトでも同じ身体の使い方が出ることがあります。
大切なのは、一番高い位置まで上げることではありません。
腰を大きく反らせず、自分で股関節の動きをコントロールできるところまでで止めてみてください。
2.足の位置が自分に合っていない
ヒップリフトでは、足を置く位置によって膝の角度が変わります。
それに伴い、お尻やハムストリングスなどの筋肉がどの程度働くかも変化します。
ブリッジ系エクササイズを調べた研究でも、膝の角度などの条件を変えることで、大殿筋とハムストリングスの筋活動の割合が変わることが報告されています。(Lehecka et al., 2017)
たとえば、かかとがお尻から遠すぎる状態で、
「もも裏がつりそう」
「ハムストリングスばかり疲れる」
という人がいます。
その場合は、足を少し身体側へ近づけるだけでも感覚が変わることがあります。
反対に、足を近づければ近づけるほど良いわけでもありません。
重要なのは、
「正しい位置を何cmと決めること」
ではなく、
足の位置を少し調整したときに、腰・もも裏・お尻への負担がどう変わるか
を確認することです。
3.今の身体でコントロールできる範囲を超えている
ヒップリフトに慣れてくると、
もっと高く上げる。
片脚にする。
バーベルや重りを乗せる。
回数を増やす。
と負荷を上げたくなります。
筋力や筋肉量を高めたいのであれば、適切な負荷を段階的に増やしていくことは必要です。
一方で、現在の身体でコントロールできない負荷になると、目的とは違う動きで運動を成立させる場合があります。
片脚ヒップリフトにした瞬間に骨盤が大きくねじれる。
重量を増やしたら腰を反らないと上がらない。
疲れてくると最後の数回だけ腰を強く反る。
こうした状態なら、
「もっと頑張る」
のではなく、一度難易度を戻した方がいいでしょう。
両脚。
小さい可動域。
軽い負荷。
で動きを確認し、コントロールできるようになったら負荷を増やします。
4.「お尻に効いている感覚」だけで判断している
ヒップリフトをしたあとに、
「お尻が焼ける感じがしないから効いていない」
と考える人もいます。
でも、運動中に筋肉を強く感じることと、その運動が長期的な筋力・筋肥大につながることは同じ意味ではありません。
筋電図(EMG)の研究では、運動によってどの筋肉がどの程度活動しているかを調べることができます。
一方、筋肉を大きくするには、一回の運動でどれだけ「効いた感じ」がしたかだけでなく、適切な抵抗をかけ、継続的にトレーニングしていく必要があります。
実際、ヒップスラストやスクワットなど複数の種目で大殿筋の筋肥大が報告されています。9週間のトレーニングを比較した研究では、ヒップスラストとスクワットのどちらでも臀部の筋肥大がみられました。(Plotkin et al., 2023)
つまり、
「ヒップリフトでお尻が熱くならないから失敗」
とは限りません。
ただし、毎回腰が痛い、もも裏がつる、目的の動作ができていないのであれば、フォームや種目を見直す必要があります。
反り腰の人がヒップリフトで腰を使いやすい理由
反り腰そのものがヒップリフト失敗の原因というわけではありません。
ただ、普段から上半身を起こすときや脚を後ろへ動かすときに腰を反らせる癖がある人では、その身体の使い方がヒップリフトにも出ることがあります。
たとえば、
脚を後ろへ伸ばす。
↓
本来は股関節を伸ばしたい。
↓
腰も一緒に反る。
という動きです。
ヒップリフトでも、
骨盤を持ち上げる。
↓
さらに高く上げようとする。
↓
股関節ではなく腰を反る。
という代償が起こることがあります。
だから反り腰が気になる人ほど、
「腰を絶対に丸める」
のではなく、
股関節を動かしたときに腰がどの程度ついてきているか
を確認してみてください。
ヒップリフトをするときのフォームを自分で確認する
1.まず何も考えずに5回やってみる
最初から、
「骨盤を後傾して」
「腹筋を入れて」
「お尻を締めて」
と意識を増やしすぎる必要はありません。
まず普段通りに5回程度行ってみます。
そのとき、
腰。
お尻。
もも裏。
太もも前。
のどこに負担を感じるか確認してください。
2.骨盤を上げる高さを半分にしてみる
腰ばかり疲れる人は、一度高さを半分程度にします。
そこからゆっくり上げ、
「ここから先に行くと腰が反る」
という位置を探します。
その少し手前で止めてみてください。
高く上げることより、股関節の動きを自分でコントロールすることを優先します。
3.軽く骨盤の位置を変えて比較する
腰を大きく反らせてしまう人では、ヒップリフトを始める前に軽く骨盤を後傾させる意識が役立つ場合があります。
2024年の研究では、後方への骨盤傾斜を視覚的なフィードバックでコントロールしながら行ったブリッジで、大殿筋の筋活動や、大殿筋に対するハムストリングス・多裂筋との活動比が変化しました。(Jang et al., 2024)
ただし、
「全員が最大限に骨盤を後傾すればいい」
という意味ではありません。
腰を床へ強く押しつけ続ける必要もありません。
何も意識しないと腰が大きく反る人が、
「少し骨盤の位置を変えるとどうなるか」
を比較するための一つの方法として使います。
ヒップリフトでもも裏ばかり効くときは?
ヒップリフトでは、大殿筋だけでなくハムストリングスも股関節伸展に関わります。
そのため、もも裏を使うこと自体は失敗ではありません。
しかし、
毎回もも裏がつりそうになる。
お尻にはほとんど負荷を感じない。
もも裏の疲労で運動を続けられない。
という場合は、フォームや足の位置を見直してみましょう。
まず、
足の位置を少し身体側へ変える。
動く範囲を小さくする。
負荷を下げる。
ことで反応を比較します。
「もも裏を絶対に使わない」ことを目指すのではなく、目的に合わせて筋肉の使われ方を調整します。
ヒップリフトで腰が痛いなら続けない
ヒップリフトを行うたびに腰痛が出る場合は、
「お尻に効くまで我慢する」
必要はありません。
特に、
上まで持ち上げると腰が痛い。
回数を重ねるほど腰痛が増える。
運動後まで腰痛が残る。
という場合は、一度可動域や負荷を下げます。
それでも症状が出るなら、その日のヒップリフトを中止して構いません。
ヒップリフトは数ある股関節・臀部トレーニングの一つです。
その種目を絶対に続けなければヒップアップできないわけではありません。
ヒップアップしたいならヒップリフトだけにこだわらない
ヒップアップを目指す場合、ヒップリフトだけを毎日繰り返す必要はありません。
大殿筋へ負荷をかけられる運動には、
ヒップスラスト。
スクワット。
ランジ。
ルーマニアンデッドリフト。
ステップアップ。
などさまざまな選択肢があります。
研究でも、スクワットやヒップスラストなど複数のトレーニング方法で大殿筋の筋肥大が報告されています。2025年のシステマティックレビューでも、股関節伸展を含む複数のレジスタンストレーニングが大殿筋の筋肥大につながることが整理されています。(Neto et al., 2025)
だから、
「ヒップリフトがお尻に効かないから、自分はお尻を鍛えられない」
と考える必要はありません。
むしろ、
自分の身体で負荷をかけやすい種目は何か。
十分な負荷をかけられるか。
フォームを維持できるか。
継続して負荷を高められるか。
まで考えた方が、ボディメイクには重要です。
ヒップアップと姿勢改善は分けて考えなくていい
お尻の形を変えたい人の中には、反り腰やぽっこりお腹など姿勢も同時に気になっている方がいます。
ここで、
「先に反り腰を完全に治してから、お尻を鍛える」
必要はありません。
反対に、
「お尻だけ鍛えれば反り腰も自然に治る」
とも言えません。
姿勢を見ることと、必要な筋肉へ適切な負荷をかけることは、両方並行して考えられます。
たとえば、
ヒップリフトで腰を反らせているなら、股関節を使う練習をする。
その動きができたら、スクワットやヒップスラストなどでもお尻へ十分な負荷をかける。
さらに立つ・歩くなど、普段の身体の使い方も確認する。
というようにつなげます。
見た目を変えるためにも、「姿勢だけ」「筋トレだけ」と分ける必要はありません。
お尻に効かないときは「種目」より「身体の使い方」を見る
ヒップリフトがお尻に効かないと、
「もっと回数を増やそう」
「もっと強くお尻を締めよう」
と考えがちです。
でも、その前に確認したいのは、
腰を反らせて高さを作っていないか。
足の位置は自分に合っているか。
今の身体でコントロールできる負荷か。
「効いている感覚」だけで判断していないか。
ということです。
反り腰は、その確認項目の一つです。
すべての原因ではありません。
自分の身体がどこで動きを作っているのかが分かれば、
ヒップリフトを修正する。
別の種目へ変える。
負荷を上げる。
可動域を変える。
など、次に何をすればいいのか判断しやすくなります。
名古屋・栄・矢場町で姿勢とヒップアップを一緒に見直したい方へ
Healthcare Studio ileでは、
「反り腰だから腹筋をする」
「ヒップアップだからヒップリフトをする」
というように、悩みだけを見て全員へ同じ運動を行うわけではありません。
立った姿勢だけでなく、
スクワット。
ヒップヒンジ。
ランジ。
片脚立ち。
歩行。
実際のトレーニング動作。
などを確認します。
たとえばヒップリフトでお尻に効かない方であれば、
股関節を伸ばしているのか。
腰を反っているのか。
ハムストリングスへ負担が偏っているのか。
今の負荷が合っているのか。
を一緒に見ます。
そのうえで、マシンピラティスで身体の使い方を練習したり、必要に応じてトレーニングで十分な負荷をかけたりします。
ピラティスも筋力トレーニングも、それ自体が目的ではありません。
今の身体に必要なことを行うための手段です。
「ヒップリフトを続けてもお尻に効かない」
「腰やもも裏ばかり疲れる」
「ヒップアップしたいけれど反り腰も気になる」
という方は、名古屋・栄で姿勢を動作から見直すパーソナルマシンピラティスもご覧ください。
自分ではフォームを判断しにくい場合は、一度実際の動作を確認してみると、何を変えるべきかが分かりやすくなります。
参考文献
- Jang TJ, Kim K, Park S, et al. Effects of pelvic tilt control using visual biofeedback on gluteus maximus, hamstring, and multifidus muscle activity during bridge exercise. 2024.
骨盤後傾をコントロールしながら行うブリッジで、大殿筋・ハムストリングス・多裂筋の筋活動を比較した研究です。 - Lehecka BJ, Edwards M, Haverkamp R, et al. Building a better gluteal bridge: electromyographic analysis of hip muscle activity during modified single-leg bridges. International Journal of Sports Physical Therapy. 2017.
膝の角度などブリッジの条件によって大殿筋とハムストリングスの筋活動が変化することを検討した研究です。 - Neto WK, Vieira TL, Gama EF. Gluteus Maximus Activation during Common Strength and Hypertrophy Exercises: A Systematic Review. Journal of Sports Science & Medicine. 2020;19(1):195-203.
股関節伸展を含む複数の筋力トレーニング中の大殿筋活動をまとめたシステマティックレビューです。 - Plotkin DL, Roberts MD, Haun CT, et al. Hip thrust and back squat training elicit similar gluteus muscle hypertrophy and transfer similarly to the deadlift. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2023.
スクワットとヒップスラストを9週間行い、両群で臀部の筋肥大を確認したランダム化研究です。 - Neto WK, et al. The impact of resistance training on gluteus maximus hypertrophy: a systematic review and meta-analysis. 2025.
大殿筋の筋肥大を目的としたレジスタンストレーニング研究をまとめたシステマティックレビューです。
著者・監修者プロフィール
著者・監修者:水野豪司
理学療法士/Healthcare Studio ile 代表
反り腰やヒップアップなどの悩みを見る際に、「この筋肉が弱いから」と一つの原因だけで判断するのではなく、背骨・胸郭・骨盤・股関節など身体全体のつながりと、スクワット・ヒップヒンジ・ランジなど実際の動作を確認することを大切にしています。
Healthcare Studio ileでは、身体の使い方を学ぶためにピラティスを使い、必要に応じて筋力トレーニングまで行います。ピラティスもトレーニングも目的ではなく、一人ひとりの身体と目的に合わせて身体を変えるための手段として活用しています。
今回の現行ページは記事本文内に残すべき写真・動画は確認できなかったので、そのまま全文差し替えでOK。現行記事にある「お尻に効かない本当の原因は反り腰」「反り腰が一番の原因」という部分を外しつつ、検索され始めている**「ヒップリフト 効かない」**に答える記事へ役割を明確化している。
