「腰をいくらほぐしても、なかなか痛みが取れない」
「長時間座ったあとに立ち上がると腰が重い」
「運動をしても腰痛が繰り返す…」
そんなお悩みを抱えている方、原因は腰そのものではなく股関節の動きにあるかもしれません。
実際、股関節が硬くなったり正しく動かなくなることで、腰に過剰な負担がかかり、慢性的な腰痛につながるケースは少なくありません。
この記事では、理学療法士監修のもと「なぜ股関節が腰痛のカギなのか」「改善のための動かし方」「効果的なセルフケア」まで詳しく解説します。
CONTENTS
腰と股関節の関係性(解剖+運動連鎖)
腰椎と股関節は、骨盤を介して密接に連動しています。
股関節が十分に曲げ伸ばしできないと、その動きを腰椎が代わりに行い、関節や筋肉に負担が集中します。
- 股関節が動く → 腰は安定して余計な動きをしない
- 股関節が動かない → 腰が代償動作をして痛みや疲労が蓄積
特に骨盤の前傾や後傾の崩れは腰椎のカーブ(腰椎前弯)に直接影響します。
正しい動きでは股関節が主役となり、腰は補助的に働く状態が理想です。
なぜ股関節の動きが悪くなるのか(原因)
- 股関節を支える深い筋肉がうまく働いていない
股関節は、大腿骨の丸い骨(骨頭)が骨盤のくぼみ(臼蓋)にしっかりはまった状態で動くのが理想です。
この「はまり」を支えているのが、小さなお尻の筋肉(小臀筋)、股関節の奥の筋肉(外旋六筋)、そして太ももの付け根の筋肉(腸腰筋)です。
これらがうまく働かないと骨頭が少しずれて動くようになり、腰や周りの筋肉が無理をするようになります。
※ 中臀筋や大臀筋も弱くなりやすいですが、安定をつくるのは特に深い部分の筋肉です。 - 股関節の前側が硬くなっている
座っている時間が長いと、太ももの付け根にある腸腰筋が縮んだまま固まり、股関節を後ろに伸ばしにくくなります。
その結果、歩くときに足を後ろへ伸ばせず、腰に負担がかかります。 - 腰に頼った動き方をしている
立ち上がるときや前かがみになるときに、股関節ではなく腰から動いてしまう癖があると、股関節の動きが使われず、さらに動きが悪くなっていきます。
改善のメカニズム
腰痛改善のためには、
- 股関節の可動域回復(特に伸展と外旋)
- 股関節の適合性改善(求心位保持)
- 腰椎の過剰な動きを抑える安定化
が必要です。
この3つを同時にアプローチすることで、腰への負担を減らしながら動ける体に整えます。
セルフケア例
1. ヒップヒンジ練習(股関節で曲げる感覚習得)
- 足を腰幅に開き、軽く膝を曲げる
- 腰を反らさず、お尻を後ろに引くように上体を前傾
- 太もも裏の伸び感と股関節の動きを感じながら戻る → 腰椎の過剰な動きを抑え、股関節主体の動作を習得
2. 小臀筋・外旋六筋活性化(クラムシェル)
- 横向きに寝て股関節と膝を軽く曲げる
- 足は合わせたまま、上側の膝をゆっくり開く
- 骨盤を安定させ、股関節の奥(深層外旋筋)に効かせる → 股関節の適合性を高め、腰部の負担を軽減
3. 中臀筋活性化(サイドライイング・レッグリフト)
- 横向きに寝て下の膝を軽く曲げる
- 上の脚をまっすぐ伸ばし、体幹を安定させたまま真上に上げる
- お尻の横に効いていることを確認 → 股関節の安定性と骨盤の水平保持をサポート
4. 腸腰筋ストレッチ
- 片膝立ちの姿勢で後ろ脚の股関節を伸ばす
- 骨盤を前に押し出し、前ももの付け根に伸びを感じる
- 背中を反らしすぎないよう注意 → 硬くなった腸腰筋を緩め、股関節伸展を回復
腰痛は股関節の詰まりや反り腰とも密接に関係しています。関連する改善法はこちらの記事で詳しく解説しています。
- 股関節の前側が詰まる原因と改善法 ─ 適合性を高めるセルフケアとピラティス
- 反り腰の原因と改善法 ─ 骨盤・股関節を整えるピラティスアプローチ
ピラティスで改善できる理由
ピラティスでは、呼吸と連動させながら骨盤と股関節をニュートラルに保つ練習を行います。
その結果、
- 股関節をスムーズに動かしつつ腰椎を安定
- 深層筋(インナーマッスル)と外旋筋群の協調性向上
- 腰の負担を減らしながら全身の動作を改善
が可能になります。
まとめ
腰痛の改善は「腰だけ」へのアプローチでは不十分なことが多く、股関節の正しい動きと安定がカギになります。
セルフケアやピラティスで股関節を整えることで、腰の負担を減らし、再発しにくい体作りが可能です。
腰痛に悩んでいる方は、まず股関節の動きから見直してみましょう。
腰痛改善をさらに効果的にするために、こちらの記事も参考にしてください。