「マッサージを受けると楽になるけれど、しばらくするとまた腰が痛くなる」
「整形外科では大きな異常はないと言われたけれど、デスクワークや立ち仕事のあとに腰がつらい」
「運動した方がいいとは思うけれど、自分には何をすればいいのか分からない」
このような腰痛を繰り返している場合、痛い腰だけをほぐしたり、腹筋を鍛えたりするだけではなく、実際の身体の使い方まで確認することが大切です。
たとえば、
前屈すると股関節ではなく腰ばかりが丸くなる。
スクワットや立ち上がりで腰を反って身体を起こす。
歩くときに股関節が十分に動かず、腰を使って進む。
このような動作が繰り返されていれば、日常生活のたびに腰へ負担が集中します。
Healthcare Studio ileでは、腰痛に対して「マシンピラティスをすれば治る」とは考えていません。
まず、なぜ腰へ負担が集まっているのかを姿勢と実際の動作から確認します。
そのうえで、一人ひとりに必要な動きを練習する手段として、マシンピラティスやトレーニングを活用します。
腰痛を繰り返す人は、痛い腰だけを見ても分からない

腰痛にはさまざまな原因があります。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など腰そのものに由来するものだけでなく、腰以外の病気や心理的な要因が関係することもあります。そのため、日本整形外科学会も、腰痛では病態に応じた正確な診断が重要だとしています。
一方、医療機関で重篤な病態が除外されている慢性的な腰痛では、運動療法は重要な選択肢の一つです。慢性腰痛に対する運動療法については、痛みや身体機能の改善を支持する研究が報告されています。
つまり大切なのは、
「腰痛だから、この筋肉を鍛えればいい」
と決めつけることではありません。
どの動作で腰へ負担が集中しているのかを確認し、その人に必要な運動を選ぶことです。
腰痛とピラティスについて基本から知りたい方は、腰痛×ピラティス完全ガイドでも詳しく解説しています。
Healthcare Studio ileでは腰痛をどう見るのか
腰痛のご相談では、痛い場所だけを確認して終わりません。
普段の生活で繰り返している動作を実際に確認します。
前屈するときに腰だけで動いていないか
床にある物を取る。
靴下を履く。
洗面台で顔を洗う。
こうした動作では、腰だけではなく股関節や背骨全体が連動して動きます。
しかし、股関節を十分に使えず、腰ばかりを大きく丸めている人もいます。
この場合、「腰が硬いからもっとストレッチする」と考える前に、股関節を使って身体を前へ倒せるかを確認する必要があります。
立ち上がりやスクワットで腰を反っていないか
椅子から立ち上がるときやスクワットをするときに、腰を反って身体を起こす人もいます。
本人は「姿勢を良くしている」つもりでも、胸郭や骨盤、股関節をうまく使えず、腰で動きを作っていることがあります。
この状態でスクワットの回数だけ増やしても、腰へ負担を集める動作を繰り返すことになります。
歩くときに股関節や胸郭が動いているか
歩行でも腰だけを見ることはできません。
股関節が十分に伸びない。
胸郭がほとんど回旋しない。
片脚で身体を支えると骨盤が大きく動く。
このような状態では、足りない動きを腰で補って歩いていることがあります。
そのためHealthcare Studio ileでは、姿勢の見た目だけではなく、実際に身体を動かして確認することを大切にしています。
腰痛にマシンピラティスを使う理由

慢性腰痛に対してピラティスを行うことで、痛みや身体機能の改善が期待できることはシステマティックレビューでも報告されています。
ただし、「ピラティスだけが他のすべての運動より優れている」という意味ではありません。
Healthcare Studio ileがマシンピラティスを使う理由は、「ピラティスだから腰痛に効く」からではなく、身体の状態に合わせて運動を調整しやすいからです。
負荷や動く範囲を調整しやすい
リフォーマーなどのマシンでは、バネによる補助や抵抗を利用できます。
たとえば、マットでは脚を動かすたびに腰が反ってしまう人でも、補助を利用することで難易度を下げ、体幹を支えたまま股関節を動かす練習がしやすくなります。
身体の使い方を確認しながら練習できる
大切なのは、エクササイズを何回できたかではありません。
「腰を反らずに股関節を動かせたか」
「呼吸を止めずに身体を支えられたか」
「左右どちらかへ負担が偏っていないか」
といった動きを確認しながら進めます。
必要ならトレーニングまでつなげる
ピラティスだけですべてを解決する必要はありません。
身体を動かす感覚をつかんだあと、必要に応じてスクワットやヒップヒンジなど、日常生活に近い負荷へ段階的に進めます。
ピラティスもトレーニングも目的ではありません。
身体を変えるための手段です。
マシンとマットの違いや、腰痛がある人にマシンが向いている理由については、マシンピラティスが腰痛に向いている理由と注意点で詳しく解説しています。
腰痛でご相談いただいた50代女性の事例
Healthcare Studio ileに、朝起きたときの腰痛についてご相談いただいた50代女性の事例です。
「朝起きると腰が痛く、靴下を履くのもつらい」というお悩みがありました。
身体を確認し、腰だけを見るのではなく、骨盤の位置や股関節の動き、体幹で身体を支えながら動けるかを見ながら運動を進めました。
行った内容は、
- 骨盤の位置を確認しながら行う呼吸練習
- リフォーマーを使用した体幹の運動
- 股関節と背骨を連動させる動作練習
などです。
現在の記事に掲載している経過では、1か月後には朝の腰痛が軽減し、3か月後には長時間座ったあとの腰のつらさや姿勢にも変化がみられました。これはこの方個人の経過であり、同じ期間・同じ結果を保証するものではありません。

ビフォーアフターで大切なのは、「見た目が変わった」という結果だけではありません。
なぜ腰へ負担が集中していたのかを確認し、実際の身体の使い方を変えるために何を行ったのかを見ることが重要です。
※症状や身体の変化には個人差があります。
「腰が痛いから腹筋を鍛える」だけでは足りない理由
腰痛対策として腹筋運動を始める人は少なくありません。
もちろん、体幹で身体を支える能力は重要です。
しかし、
「腹筋が弱い=腰痛」
という単純な関係ではありません。
仰向けで脚を動かすと腰が反るのであれば、腹筋運動の回数を増やす前に、体幹を支えながら股関節を動かせるか確認します。
スクワットで腰が痛むのであれば、腹筋だけでなく足首・股関節・骨盤・胸郭まで含めて動きを見ます。
腰痛改善で考えたいのは、
「どの筋肉が弱いか」
だけではなく、
「実際の動作で身体をどう使っているか」
です。
整体やマッサージで繰り返す腰痛は何を見直す?
整体やマッサージで身体が楽になること自体を否定する必要はありません。
つらいときに筋肉の緊張がやわらぎ、症状が軽くなる人もいます。
ただし、仕事や日常生活に戻るとまた腰が痛くなるのであれば、
「なぜ普段の生活で腰へ負担が集まるのか」
まで確認する必要があります。
長時間座っているとき。
床の物を取るとき。
椅子から立ち上がるとき。
歩いているとき。
こうした毎日の動作が変わらなければ、同じ場所へ何度も負担をかけることになります。
そのためileでは、その場で身体を楽にすることだけではなく、日常生活で繰り返している動作まで見直すことを大切にしています。
ピラティスで腰痛が悪化する場合は、運動内容を見直す
「腰痛には運動がいい」と聞いていても、運動するたびに症状が強くなっているのであれば、同じエクササイズをそのまま続ける必要はありません。
たとえば、
脚を動かすたびに腰が反る。
前屈を深くするほど腰痛が強くなる。
身体をひねると腰だけに痛みが集中する。
疲れてフォームが崩れているのに回数を続ける。
こうした場合は、運動の種目だけではなく、負荷・可動域・姿勢・身体の使い方を確認します。
「痛いほど効いている」と我慢するのではなく、その人が腰へ負担を集中させず動ける条件へ調整することが大切です。
具体的な動きについては、ピラティスで腰痛が悪化するNG動作4つと判断基準で詳しく解説しています。
腰痛が強いときでもマシンピラティスはできる?
「腰が痛ければ、とりあえずピラティスをすればいい」というわけではありません。
腰痛の状態によっては、運動より医療機関での評価を優先します。
日本整形外科学会では、安静にしていても痛みが軽くならない、症状が徐々に悪化する、発熱を伴う、脚のしびれや力の入りにくさがある、尿漏れなど排尿の異常がある場合には、速やかな整形外科受診を勧めています。
このような症状がある場合は、自己判断でピラティスを始めないでください。
一方、医療機関で重篤な病態が除外され、慢性的な腰痛が続いている場合には、その人の状態に合わせて運動を取り入れることが選択肢になります。
WHOも慢性一次性腰痛について、運動を含む非外科的な介入を、個々の状態に応じて組み合わせる考え方を示しています。
運動を始める前に確認したいポイントについては、腰痛がある人がピラティスを始める前に知っておきたい5つの注意点も参考にしてください。
腰椎椎間板ヘルニアと診断されている方は、腰椎椎間板ヘルニアは運動しても大丈夫?保存療法と運動の考え方で、ヘルニアと運動について詳しく解説しています。
Healthcare Studio ileの初回では何を確認する?

初回から、全員に同じピラティスメニューを行うわけではありません。
まず、現在どのような場面で困っているのかを確認します。
たとえば、
「朝起きたときにつらい」
「長時間座っていると痛くなる」
「前屈すると痛む」
「ゴルフやトレーニングのあとにつらくなる」
など、同じ腰痛でも困っている場面は人によって異なります。
そのうえで姿勢だけでなく、必要に応じて、
- 前屈
- 立ち上がり
- スクワット
- 片脚立ち
- 歩行
など、実際の動作を確認します。
そこで見つかった身体の課題に合わせて、マシンピラティスやトレーニングを選びます。
「腰痛の方には全員このメニュー」という進め方ではなく、一人ひとり違う身体を確認してから運動を決めることを大切にしています。
初めてHealthcare Studio ileを利用する方は、初めての方へもご覧ください。
名古屋・栄・矢場町で腰痛を相談したい方へ
Healthcare Studio ileは、名古屋市中区栄3丁目にある、理学療法士監修の完全マンツーマンスタジオです。
矢場町駅から徒歩5分、栄駅から徒歩9分。完全個室で、一人ひとりの身体に合わせてピラティスやトレーニングを行っています。
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3丁目25-17
CHIPTOWER 3・4F
初回は、カウンセリングや身体の状態・動作を確認したうえで、その方に合わせた運動を行います。
体験内容や料金は変更になる場合があるため、最新の内容はHealthcare Studio ileの料金ページからご確認ください。
腰痛を繰り返していて、
「自分の場合は、なぜ腰へ負担がかかっているのか分からない」
「運動した方がいいのは分かるけれど、何をすればいいのか判断できない」
という方は、一度実際の身体の動きを確認してみてください。
ピラティスをすること自体を目的にするのではなく、今の身体に何が必要なのかを一緒に整理するところから始めます。
参考文献
- Hayden JA, Ellis J, Ogilvie R, et al. Exercise therapy for chronic low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021;9:CD009790. 慢性腰痛に対する運動療法を検討したシステマティックレビューです。
- Patti A, Thornton JS, Giustino V, et al. Effectiveness of Pilates exercise on low back pain: a systematic review with meta-analysis. Disability and Rehabilitation. 2024;46(16):3535-3548. 腰痛に対するピラティスの効果を検討したシステマティックレビュー・メタ解析です。
- George SZ, Fritz JM, Silfies SP, et al. Interventions for the Management of Acute and Chronic Low Back Pain: Revision 2021. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2021;51(11):CPG1-CPG60. 腰痛に対する運動療法やムーブメントコントロールなどを扱った臨床診療ガイドラインです。
- World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023. 慢性一次性腰痛の非外科的管理についてのガイドラインです。
- 日本整形外科学会. 「腰痛」症状・病気をしらべる. 腰痛の原因、診断、受診を急ぐ症状、運動について一般向けに解説しています。
著者・監修者プロフィール
著者・監修者:水野豪司
理学療法士/Healthcare Studio ile 代表
腰痛や姿勢などの身体の悩みに対して、痛みが出ている場所だけで判断するのではなく、背骨・胸郭・骨盤・股関節など身体全体のつながりと、立つ・座る・前屈する・しゃがむ・歩くといった実際の動作を確認することを大切にしています。
Healthcare Studio ileでは、一人ひとりの身体を評価したうえで、ピラティスやトレーニングを身体を変えるための手段として活用し、その人に必要な運動を組み立てています。
