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コラム

2025.08.12

股関節の前側が詰まる原因と改善法|理学療法士監修・適合性を高めるピラティスとセルフケア

「歩いていると股関節の前側がつっかえる感じがする」

「足を上げようとすると鼠径部あたりが詰まって痛い」

「ストレッチしてもスッキリしない…」

こうした股関節の“前側の詰まり感”は、デスクワークが多い方や、立ち仕事・スポーツをされている方まで幅広く見られる症状です。

多くの人は「筋肉が硬いからかな?」と考えてストレッチをしますが、それだけでは改善しないケースも少なくありません。

その理由のひとつが、股関節の「適合性(コングルエンス)」の低下です。

本記事では、理学療法士監修のもと、詰まりの原因・改善メカニズム・セルフケア方法、そしてピラティスが有効な理由を詳しく解説します。


股関節は、大腿骨の丸い「骨頭」と骨盤側の「寛骨臼」が組み合わさった球関節です。

多方向に動く自由度の高い関節ですが、その動きは筋肉・靭帯・関節包によって安定しています。

適合性(コングルエンス)とは、この骨頭が臼蓋の中央にしっかり収まり、安定しながら動ける状態を指します。

適合性が低下すると、骨頭が前方や上方にずれやすくなり、動きの途中で臼蓋や関節包にぶつかり、インピンジメント(衝突)が発生しやすくなります。


1. 小臀筋・外旋六筋の機能低下

股関節の深い部分にある外旋六筋(梨状筋・内外閉鎖筋・上双子筋・下双子筋・大腿方形筋)や、小臀筋は、骨頭を臼蓋に引き込み、後下方に誘導する働きがあります。

これらの筋肉が機能しないと、骨頭が前方・上方にずれ、前側の空間が狭くなります。

2. 腸骨筋と関節包の関係

腸腰筋の一部である腸骨筋は、関節包の前面に付着しています。

適合性が低い状態で動くと、この腸骨筋と関節包が引きつれ、前方での詰まり感やインピンジメントを起こしやすくなります。

3. 日常動作の影響

  • 仙骨座りで背もたれにもたれる座位姿勢  → 腸腰筋を使わずに股関節屈曲を保つため、筋活動が低下します。
  • 歩行時に股関節の進展が出ない  → 腸腰筋が遠心性収縮せず、股関節の安定に必要な刺激が入らない。

これらの生活習慣が、股関節の安定性を支える深層筋の働きを弱め、適合性の低下を招くのです。


股関節の詰まり感を根本から改善するには、単にストレッチで柔らかくするだけでなく、骨頭を正しく求心位に収める力を取り戻すことが必要です。

具体的には、

  • 外旋六筋・小臀筋の活性化で骨頭を後下方へ誘導
  • 求心位を保ったまま動く運動学習
  • 腸骨筋の緊張をコントロールして関節包前面へのストレスを減らす
  • 詰まりを起こさない動作パターンへの修正

これらを組み合わせることで、股関節の可動性と安定性を同時に高めることができます。

股関節の詰まり感は腰痛や反り腰にも深く関係しています。改善のヒントはこちらの記事でも解説しています。


1. クラムシェル(外旋六筋活性)

  1. 横向きに寝て股関節と膝を軽く曲げます。
  2. 足を合わせたまま、上側の膝だけをゆっくり開きます。
  3. 骨盤が後ろに倒れないよう固定し、お尻の奥(外旋筋群)に効かせます。

2. 90/90ポジション外旋・内旋モビリティ

3. 四つ這いヒップローテーション(求心位キープ)

  1. 四つ這い姿勢で骨盤をニュートラルに保ちます。
  2. 片脚を膝から持ち上げ、股関節から外側→後ろ→内側へ円を描くように回します。
  3. 骨盤をできるだけ動かさず、股関節骨頭が臼蓋から浮かないようにコントロールします。

※ いずれのエクササイズも、痛みが強い場合は中止してください。


ピラティスでは、呼吸と連動させながら骨盤と股関節をニュートラルに保つ動きを繰り返します。

その過程で、

  • 普段意識しづらい外旋六筋や小臀筋を安全に活性化
  • 骨頭を臼蓋に求心位で保つ感覚を習得
  • 関節包や前面の組織にストレスをかけずに可動域を広げる
  • インナーマッスルを同時に働かせて安定性を高める

といった効果が期待できます。


名古屋・栄のヘルスケアスタジオイレでは、理学療法士による評価をもとに、

  • 股関節の適合性、骨盤位置、動作分析
  • 必要な筋群の活性化エクササイズ
  • 詰まりを回避した状態での歩行・階段・スクワット練習
  • 再発防止のための日常動作指導

を行い、根本からの改善をサポートします。

肩甲骨を意識して動かしている女性

腰や姿勢の不調を予防するために、こちらの記事も合わせてご覧ください。

股関節の前側が詰まる感覚は、単なる柔軟性不足ではなく適合性の低下が原因のことも多くあります。

小臀筋や外旋六筋の活性化、腸腰筋の適切な働き、そして求心位での運動学習が改善のカギです。

放置すると腰痛や膝痛につながる可能性もあるため、早めのケアがおすすめです。

一人での改善が難しい場合は、専門家の指導を受けながら安全にアプローチしていきましょう。

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