腰痛は、肩こりと並んで多くの人が抱える国民的な悩みです。
「運動したいけど、腰痛が悪化しないか心配…」
「腹筋やストレッチは逆効果って聞いたけど本当?」
そんな疑問に、理学療法士が科学的根拠と実際の現場経験をもとに答えます。
この記事では、
- 腰痛にピラティスが効果的な理由
- 自宅で安全にできるおすすめエクササイズ
- やってはいけないNG動作
- マットとマシンの違い までを徹底的に解説します。
CONTENTS
腰痛にピラティスは効果ある?|筋力・姿勢・呼吸で“痛みの原因”にアプローチ
ピラティスは以下の3つの要素で腰痛改善にアプローチできます。
- コア(体幹)の強化 腰を支えるインナーマッスル(腹横筋・多裂筋)を活性化し、背骨を安定させる。
- 姿勢改善 猫背や反り腰を修正し、腰への負担を軽減する。
- 呼吸法 横隔膜呼吸でリラックス+腹圧を安定させ、血流を改善。
腰痛ストレッチとの違い
ストレッチは一時的に筋肉を伸ばすだけですが、ピラティスは「正しい動きの再学習」によって 根本的に腰痛を起こしにくい体を作れる のが特徴です。
まず確認:腰痛でもピラティスをしていい?|OK/NGの目安
「腰痛があるけど運動して大丈夫?」と不安になる方は多いです。
すぐ受診すべきサイン
- 足の強いしびれ・筋力低下
- 発熱を伴う腰痛
- 膀胱・直腸のコントロール障害
これらは医療機関での早期受診が必要です。
自宅で始められるケース
- 慢性的な腰の重だるさ
- デスクワークや姿勢不良からくる痛み
- 医師から「運動してOK」と言われている場合
👉 目安は「痛み0〜10のうち、3以下」で行うこと。4以上に上がる場合は中止してください。
腰痛持ちの人にオススメの自宅でできるピラティスエクササイズ【動画あり】

腰痛改善に役立つピラティスの動きを、動画でも詳しく解説しています。
この動画では特に 「骨盤の安定性」「股関節のスムーズな動き」「お腹(体幹)の使い方」「背骨の柔軟性」 を段階的に練習できます。
👉 初心者でも無理なく取り組める内容なので、本文の手順を読んだらぜひ動画で一緒に動いてみてください。
自宅でできる腰痛ピラティス|初心者向けおすすめ3選
ここからは、腰痛持ちの方でも安心して取り組める代表的なエクササイズを紹介します。
① ドローイン呼吸(30秒×5セット)
- 目的:腹横筋をやさしく活性化し、腰部の安定性を高める
- やり方:仰向けで膝を立て、鼻から吸ってお腹を360°に膨らませ、口から吐きながら下腹をへこませる
- ミス例:息を止める/みぞおちだけをへこませる
- コツ:手をお腹に添え、軽い張りを触って確認
② ニュートラル骨盤のブリッジ(10回×2セット)
- 目的:大殿筋と多裂筋を使って背骨を安定
- やり方:仰向けで骨盤を中間位、吐きながら尾骨→腰椎の順に持ち上げる。吸ってキープし、吐きながら下ろす
- ミス例:一気に腰を反らせる/肋骨が開く
- コツ:みぞおちを軽く下げ続けるイメージ
③ キャット&テールガイド(10往復)
- 目的:背骨の分節運動と骨盤のコントロール
- やり方:四つ這いで吸って背骨を長く、吐きながら尾骨から丸める→吸って戻す
- ミス例:肩で押しすぎて首がすくむ
- コツ:おへそを天井に引き上げるイメージ
やってはいけない動き・悪化しやすいパターン(NG動作まとめ)

腰痛改善には運動が効果的ですが、やり方を間違えると逆効果です。
NG動作
腹圧が抜けたままの前屈・ツイスト
腰を反らせすぎる腹筋(シットアップなど)
痛みを我慢して回数を増やす
腹筋と腰痛の関係
「腰痛には腹筋が効く」と言われることがありますが、シットアップ(上体起こし)など腰を大きく反らす腹筋運動は、むしろ腰に負担をかけてしまいます。
腹筋は本来、体幹を安定させて腰を守るために大切な筋肉ですが、正しい方法で行わないと逆効果になる点に注意が必要です。
腹筋が腰痛を悪化させる理由
- シットアップで腰椎に強い圧縮ストレスがかかる
- 腹筋だけを使うと、背骨を守るインナーマッスル(腹横筋・多裂筋)が働かない
- 反動を使ったり勢いで起き上がると腰椎や椎間板に大きな負担がかかる
👉 腰痛改善のつもりが「腰を痛めるトレーニング」になってしまうことがあります。
注意すべきポイント
- シットアップやツイスト系の腹筋は避ける
- 「痛み0〜10のうち、3以下」で実施(痛みが強まるときは中止)
- 腹直筋だけでなく、腹横筋・腹斜筋・背筋を含めた「体幹全体」をバランスよく鍛える
- 腰痛持ちの方は ドローインやブリッジなどの低負荷エクササイズから始める
👉 つまり、「腹筋はダメ」なのではなく、方法を間違えると腰を悪化させるということ。ピラティスのようにインナーマッスルを意識した体幹トレーニングが、安全で効果的です。
マットとマシン、どちらが腰痛に向いている?

– マットピラティス:基礎力をつけやすいが、フォームが崩れると腰への負担が大きい
– マシンピラティス(リフォーマー):バネの補助で「正しい動き」を習得でき、腰痛持ちの方でも安心
👉 初心者や腰痛が強い方にはマシンピラティスが特におすすめです。
👉 「マシンの使い方や具体的な効果は、【リフォーマーで腹筋を安全に鍛える方法】の記事でも詳しく紹介しています。」
ヨガよりもピラティスをおすすめする理由

ヨガも関節可動域を広げる点では効果的ですが、ピラティスは「正しい動きを再学習する」という点で腰痛改善により直結します。
👉 姿勢の崩れや体の使い方が原因の腰痛には、ピラティスのほうが根本改善につながりやすいのです。

腰痛の原因にはどんなものがある?|代表的な6つの要因を総まとめ

腰痛は一つの原因だけで起こるのではなく、複数の要因が重なって生じるケースがほとんどです。ここでは代表的な原因を整理して紹介します。
- 筋肉の緊張 長時間の座り作業や運動不足、姿勢の悪さで腰部の筋肉が固まり、痛みを引き起こします。
- 椎間板の損傷 椎間板が変性・損傷し、神経を圧迫すると痛みやしびれにつながります(例:椎間板ヘルニア)。 👉 詳しくは関連記事:【椎間板ヘルニアでも運動していい?手術に頼らない改善法】をご覧ください。
- 姿勢の悪さ 猫背や反り腰、スウェイバックなど不良姿勢は腰に過剰な負担を与えます。
- 加齢による変化 骨粗鬆症や関節炎など、加齢に伴う変化が腰痛の原因となることもあります。
- 身体的な負荷 スポーツや重労働で筋肉や靭帯が損傷し、腰痛を招くケースがあります。
- ストレスや精神的要因 精神的な負担が自律神経に影響し、筋肉の緊張を強めることがあります。
👉 腰痛の原因は複雑で、複数の要因が組み合わさっている場合がほとんど。だからこそ、「生活習慣と身体の使い方を整える」ことが改善のカギになります。
腰痛改善の考え方を理学療法士が解説!

腰痛は手術だけでなく、保存療法による改善方法が数多くあります。その中でもピラティスは、運動療法として安全に取り入れられる“おすすめの運動”の一つです。
腰痛は「痛みの軽減」と「再発予防」の両面から考える必要があります。
多くの方は腰の背骨をうまくコントロールできていないため、腹部の筋肉が働かず不安定になりやすいです。
👉 ポイントは「正しい体の使い方を再学習すること」。
姿勢や生活習慣のクセを見直し、体幹の安定を取り戻すことで痛みを改善できます。
腰痛にマッサージは効果なし?科学的視点から考える

腰痛を抱える多くの人々が、その症状の緩和にマッサージを試みると思います。
マッサージは一時的な緩和には有効。ただし根本改善には「動きの再学習」が必要です。
しかし、一部の研究や専門家の間では、マッサージが腰痛に対して本当に効果的なのか疑問視する声があります。
果たしてマッサージは腰痛に効果がないのでしょうか?
科学的な視点から探ってみましょう。
まず、マッサージの効果を評価するためには、そのメカニズムを理解する必要があります。
マッサージは筋肉の緊張を緩和し、血液循環を促進することで痛みを和らげるとされています。
また、リラックス効果もあり、ストレスや不安の軽減にも役立つとされています。
しかし、マッサージの効果に関する研究結果は一貫していません。
一部の研究では、マッサージが腰痛の症状を有意に改善させるという結果が得られています。
一方で、他の研究ではプラセボ(偽治療)と比較して効果が見られないという結果もあります。
これらの相反する結果にはいくつかの理由が考えられます。
まず、研究の方法や条件が異なることが影響している可能性があります。
また、腰痛の原因や症状の程度によっても、マッサージの効果が異なる可能性があります。
さらに、マッサージの効果は一時的である可能性があります。
一度のマッサージで痛みが緩和されても、その効果が持続するかどうかは不明です。
また、腰痛の根本的な原因が解決されない限り、マッサージだけでは症状を完全に解消することは難しいかもしれません。
したがって、腰痛にマッサージが全く効果がないとは一概に言えませんが、過度な期待は禁物です。
個々の状況やよって効果が異なる可能性があります。

よくある質問(FAQ)
Q. 腰痛で腹筋はしても大丈夫?
A. シットアップのようないわゆる腹筋はNGです。
代わりにドローインやブリッジなど、腰にやさしいエクササイズを選びましょう。
👉 詳しい解説は本文の「やってはいけない動き(腹筋と腰痛の関係)」をご覧ください。
Q. 週に何回やれば効果が出ますか?
A. 週2〜3回が目安。2〜4週間で「痛みの出にくさ」や姿勢の変化を感じる方が多いです。
Q. ヨガとピラティス、腰痛改善にはどっち?
A. どちらも有効ですが、ピラティスは“動きの再学習”によって再発予防に効果的です。
Q. 椎間板ヘルニアでも同じメニューでOK?
A. 症状が落ち着いていれば実施可能。ただし強いしびれや痛みがある場合は専門家へ相談してください。
Q. 腰痛はストレッチだけで改善しますか? A. ストレッチは一時的に筋肉をゆるめる効果がありますが、根本改善には「筋力強化」や「動きの再学習」が欠かせません。ピラティスはその両方をカバーできるため、ストレッチと組み合わせるのが効果的です。
Q. 整体や接骨院とピラティスはどう違いますか? A. 整体や接骨院は「受け身の施術」で一時的に楽になる効果が期待できます。一方、ピラティスは「自分で体を動かす」ことで正しい動作を身につけ、再発予防までできるのが大きな違いです。
迷ったら専門家に相談を|安全に続けるためのチェックリスト
- 痛みが4以上に強まるときは中止する
- フォームに不安があれば専門家に見てもらう
- 自宅エクササイズで改善が見られないときは、保存療法の一環としてマシンピラティスを検討
関連記事:
まとめ|腰痛とピラティスは相性がいい

腰痛は「安静にしすぎる」と逆に悪化することがあります。
ピラティスは、正しい動きを学び直すことで 腰にやさしく根本改善を目指せる運動法 です。
「本当に自分にできるかな…」と不安な方は、まずは体験から始めてみてください。
名古屋・栄の ヘルスケアスタジオ ile では、理学療法士監修のマンツーマンピラティスを提供しています。
👉 初回体験セッション受付中!お気軽にご相談ください。
著者情報・監修
水野豪司(理学療法士 / ピラティスインストラクター) 藤田保健衛生大学卒業、藤田医科大学ばんたね病院勤務を経て、株式会社ILE設立。 名古屋・栄「ヘルスケアスタジオ イレ」運営、1,000名以上の姿勢改善・リハビリ指導経験。
✅ この記事は理学療法士が監修しています