「椎間板ヘルニアと診断されて、運動はもうできないのでは…」
「病院で手術をすすめられたけど、本当に必要なの?」
腰や足のしびれ・痛みに悩む方の中には、こうした不安を抱えている方が多いです。
特に「運動していいのか?」「安静にすべきなのか?」は、多くの人が検索している大きな疑問。
結論からお伝えすると、椎間板ヘルニアは“正しく運動すること”が改善のカギです。
ただし、症状や時期によっては運動が逆効果になる場合もあり、注意が必要です。
この記事では、
- 椎間板ヘルニアで痛みが出る仕組み
- 運動が改善につながる理由と注意点
- 手術に頼らず改善できるケース
- ピラティスで実際に改善した事例
を、理学療法士監修の視点からわかりやすく解説します。
「もう治らないかも…」と不安になっている方も、きっと安心して一歩を踏み出せるはずです。
🔍 この記事でわかること
・腰椎椎間板ヘルニアは、なぜ痛みが出るのか?
・MRIで「手術」と言われたけど、本当に必要?
・ピラティスでどうやって痛みを改善できるのか?
CONTENTS
- 1 【はじめに|腰椎椎間板ヘルニアに悩む方へ】
- 2 【腰椎椎間板ヘルニアとは?】
- 3 【どうして痛みやしびれが出るのか?|ヘルニアの機序】
- 4 【椎間板ヘルニアと運動の関係】
- 5 【安静だけではNG?|運動の必要性とリスク】
- 6 【MRIでヘルニアが見つかった=手術が必要ではない】
- 7 【椎間板ヘルニアとピラティスの相性】
- 8 【ピラティスの有効性|“背骨に負担をかけずに整える”という視点】
- 9 【椎間板ヘルニア改善のための運動療法|具体的なエクササイズと注意点】
- 10 【椎間板ヘルニアは自然治癒するのか?】
- 11 【椎間板ヘルニアはどのくらいで改善するのか?】
- 12 【実際の改善事例|40代女性・Aさんのケース】
- 13 【生活で注意すべきポイント】
- 14 【名古屋で椎間板ヘルニア改善をサポートするイレの取り組み】
- 15 【受診を急いだ方がよい症状】
- 16 【よくあるご質問】
- 17 【まとめ|「ヘルニア=運動NG」ではない】
- 18 【まとめ|今、不安を抱えるあなたへ伝えたいこと】
- 19 【📚 あわせて読みたい記事】
- 20 【著者情報・監修】
【はじめに|腰椎椎間板ヘルニアに悩む方へ】
腰の痛みや足のしびれ、病院で「ヘルニア」と診断され、動くことすら怖くなってしまった。
そんな方は少なくありません。
「もう運動なんて無理」「安静にしていればよくなるのでは?」
そう思いながら、不安な日々を過ごしている方も多いはずです。
でも実は、腰椎椎間板ヘルニアこそ“正しい運動”が大切。
この記事では、医学的な視点と私たちイレのピラティスの考え方をもとに、改善のためのヒントをお届けします。
【腰椎椎間板ヘルニアとは?】
腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の間にある“椎間板”というクッションの中心部分(髄核)が外に飛び出し、近くの神経を圧迫することで起こる症状です。
特にL4~L5、L5~S1といった腰の下の部分で多く見られます。
この飛び出した部分が神経に触れることで、腰の痛みだけでなく、足のしびれや力が入りにくいといった症状が出ることもあります。基礎知識は公的機関の解説もご参照ください(参考:日本整形外科学会 腰椎椎間板ヘルニア
)。
一方で、MRIでヘルニアが確認されても症状が出ない人も多いのが特徴です(参考:Boden et al., 1990, J Bone Joint Surg)。
症状の有無は「神経への圧迫の程度」や「周囲の筋肉のサポート」に左右されると考えられています(参考:腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版))。
【どうして痛みやしびれが出るのか?|ヘルニアの機序】
椎間板は年齢や姿勢、過度な負担などにより変性しやすくなります。
その結果、椎間板の中心にある柔らかい髄核が繊維輪を突き破り、外に飛び出してしまうことがあります。
これが神経根に当たると、「ピリッ」とした痛みや、しびれ、筋力低下などが起きてきます。
一方で、飛び出しただけでは症状が出ない人もいます。
大切なのは「神経にどのくらいの圧がかかっているか」「周囲の筋肉がどうサポートできているか」といった、体全体のバランスです。
この点は坐骨神経痛とも共通する部分があり、詳しくはこちらの記事で解説しています → 坐骨神経痛と姿勢の関係
【椎間板ヘルニアと運動の関係】
ヘルニアは運動NG?安静が必要なケース
発症直後や痛みが強い急性期は、まず安静が必要です。強い坐骨神経痛や進行する筋力低下がある場合は、医師の判断に従いましょう。
ヘルニアで運動してよいケース(保存療法の視点)
痛みが落ち着いてきた慢性期や、再発予防の段階では運動療法が有効です。
実際、厚生労働省の「腰痛対策ガイドライン」でも、過度な安静は推奨されず、保存療法としての運動療法の実施が改善の鍵とされています(参考:厚生労働省 腰痛対策)。
長期間の安静は筋力低下や血流不良を招き、かえって回復を遅らせるリスクがあるため、痛みが許す範囲で安全に体を動かすことが大切です。
【安静だけではNG?|運動の必要性とリスク】
「とにかく安静に」と言われがちなヘルニアですが、過度な安静は回復を遅らせることがあります。
動かない期間が長いほど体幹筋は弱まり、姿勢の崩れや血流不良が進み、結果として症状の長期化・再発リスクが上がるのです。
もちろん急性期や強い痛みがある場合は無理せず休むことが必要ですが、痛みが落ち着いたら“安全に運動を取り入れる”ことが改善の近道です。
【MRIでヘルニアが見つかった=手術が必要ではない】
「MRIでヘルニアが確認されたから、手術が必要」と言われ、不安を感じている方も多いかもしれません。
しかし、実際には画像所見と症状の関連性は必ずしも一致しないことが多いのです。
例えば、ある研究では、MRIでヘルニアが確認された患者を対象に、画像所見と臨床症状の関連性を調査したところ、画像所見と症状の間に明確な関連性は見られなかったと報告されています。(参考:Jarvik et al., 2010, Radiology)
また、別の研究では、MRIで確認されたヘルニアの大きさや位置と、患者の痛みや機能障害との関連性を調査した結果、画像所見と症状の間に明確な関連性は見られなかったと報告されています。
(参考:Stefanakis et al., 2014, Pain Physician)。
つまり、「ヘルニアがある=必ず症状が出る」「ヘルニアがある=手術が必要」というわけではないのです。
実際、椎間板ヘルニアの保存療法として、運動療法は非常に有効な改善方法であり、症状が軽快するケースも多く報告されています。
イレでは、理学療法士の視点から、一人ひとりの症状や身体の状態に合わせたアプローチを大切にしています。
「画像でヘルニアが見つかったから手術しかない」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。
【椎間板ヘルニアとピラティスの相性】
ピラティスが有効な理由
ピラティスは背骨に過剰な負担をかけず、体幹の安定性を高められる運動です。特に腹横筋・多裂筋などのインナーマッスルを活性化できるため、腰椎の安定化に役立ちます。
【ピラティスの有効性|“背骨に負担をかけずに整える”という視点】
イレのピラティスは、椎間板ヘルニアの保存療法として取り入れられる“運動のおすすめ”方法のひとつです。
イレでは、関節や神経に負担をかけないよう配慮しながら、インナーマッスル(腹横筋・多裂筋など)を活性化し、背骨を安定させるピラティスアプローチを行っています。
特に大切なのは“ニュートラルな背骨の位置”を保ったまま、呼吸や骨盤の動きを丁寧に意識すること。
これにより、椎間板に余計な圧をかけずに体を整えていくことができます。
「わたしの症状でも大丈夫かな…?」そんな方へ
イレでは、お一人ずつの身体状態に合わせたレッスンをご案内しています。
初回は 体験セッション をご用意していますので、安心してご相談くださいね。
【椎間板ヘルニア改善のための運動療法|具体的なエクササイズと注意点】
椎間板ヘルニアの改善や再発予防には、背骨を守りながら体幹を安定させる運動がポイントです。イレでは、症状の強さや体の状態に応じて、以下の安全なエクササイズを導入しています。
ピラティスを用いた具体的エクササイズ(H3)
・フットワーク(仰向けでの足踏み運動)
背骨にかかる負担が少なく、マシンが身体を支えてくれるため、安心して股関節や膝の動きを引き出せます。体幹の安定性を養う土台作りに最適。
・ショルダーブリッジ(骨盤と背骨をゆっくり持ち上げる)
骨盤まわりの筋肉を刺激しながら、背骨をひとつずつ丁寧に動かして柔軟性と安定性を高めます。腰への過負荷を避けつつ、背骨のコントロール力を養えます。
・イヴズランジ(股関節と体幹を連動させる)
背骨への負担を抑えたまま下半身と体幹を同時に鍛える種目。股関節の可動性を広げ、姿勢保持力の向上にもつながります。
これらは自宅では精密なコントロールが難しいため、リフォーマーを使うことで安全性と効果が高まります。「一人でやっても変わらなかった…」という方でも、プロの目とサポートのある環境で安心して取り組めます。
注意すべき運動・避けるべき動作(H3)
次のような運動は症状悪化につながる可能性があるため注意が必要です。
- 高重量の筋トレ(重いバーベルのリフトなど)
- 腰を大きく反らす深いブリッジ系ストレッチ
- 急激なジャンプや長時間のランニング
フォーム別の注意(腹筋・プランク・ストレッチ)
- 腹筋運動:シットアップのように腰を丸めて勢いで起こす動作は避け、ニュートラル位で腹横筋を意識。
- プランク:腰が反る/落ちるフォームはNG。四つ這い(ハンズ&ニー)から段階的に。
- ストレッチ:強い反り・ねじりは避け、股関節中心のやさしい伸張+体幹安定を優先。
※詳細Q&Aは本記事末尾の【よくあるご質問】も参照してください(同内容の重複を避けるため、こちらでは要点のみ記載)。
【椎間板ヘルニアは自然治癒するのか?】
椎間板ヘルニアは、時間の経過とともに自然に縮小・吸収されることがあります。
2023年に発表されたメタアナリシス(Rashed et al., J Neurosurg Spine)では、特に脱出型や遊離型のヘルニアで自然吸収率が高いことが示されました。手術を行わなくても、多くの患者でヘルニアが縮小し、それに伴って症状も改善するケースが報告されています。
ただし、自然吸収には個人差が大きく、必ず誰にでも当てはまるわけではありません。そのため、医師の診断を受けながら、適切な保存療法(運動療法や生活習慣の改善)を並行することが重要です。
【椎間板ヘルニアはどのくらいで改善するのか?】
改善のスピードは「症状の程度」と「生活習慣」によって異なります。
一般的には、軽度〜中等度なら数週間〜3か月で改善傾向が見られるケースが多いとされています。
ただし「運動せずに安静を続ける」よりも、保存療法としての運動を取り入れた方が改善が早いことが研究で示されています。
【実際の改善事例|40代女性・Aさんのケース】
週1回のレッスンを3ヶ月続けたAさんは、長年悩まされていた腰の重だるさが軽減。
特に朝の洗顔や、立ちっぱなしの家事がラクになったと喜ばれています。
「痛いから動かない」から「動ける範囲で正しく動く」への切り替えが、心身の変化を後押ししてくれました。
【生活で注意すべきポイント】
• 長時間の同じ姿勢を避ける(1時間に1回は立ち上がる)
• 正しい座り方を意識する(腰を立てる)
• 急な前かがみ・物を持ち上げる動作に注意
• 体重管理と十分な睡眠も大切
生活指導は公的資料でも推奨されています(参考:厚生労働省『職場における腰痛予防対策指針』)。
【名古屋で椎間板ヘルニア改善をサポートするイレの取り組み】
名古屋市中区栄の「ヘルスケアスタジオ イレ」では、理学療法士監修のもと、椎間板ヘルニアの保存療法として安全なピラティスを提供しています。
腰痛や坐骨神経痛に関する記事もぜひご覧ください。
【受診を急いだ方がよい症状】
椎間板ヘルニアの多くは保存療法で改善が期待できますが、次のような症状がある場合は早急に医療機関を受診してください。
- 排尿・排便障害、会陰部のしびれ(馬尾症候群が疑われる場合)
- 発熱を伴う強い腰痛
- 進行性の筋力低下や歩行障害
これらは重篤な病態の可能性があるため、自己判断せずに必ず専門医へご相談ください。
【よくあるご質問】
Q. 椎間板ヘルニアは自然治癒しますか?
A. 時間とともに小さくなるケースもありますが、医師の診断と運動療法の併用が安心です。
Q. 改善にはどのくらいかかりますか?
A. 軽度なら数週間、一般的には数か月で改善傾向が見られるケースが多いです。
Q. 痛みが強いときでも運動できますか?
A. 急性期は安静が必要ですが、落ち着いたら保存療法として安全に始められます。
Q. 腹筋運動やプランクはしても大丈夫ですか?
A. シットアップのように腰に強い負担をかける運動は避け、腹横筋を意識したピラティスのエクササイズがおすすめです。
Q. ピラティスと整体やマッサージは何が違うのですか?
A. 一時的なケアではなく、「正しい動き」を身につけて根本改善を目指せるのがピラティスです。
Q. 椎間板ヘルニアでジムに通ってもいいですか?
A. 高重量の筋トレは避け、軽い運動やピラティスから始めるのがおすすめです。
【まとめ|「ヘルニア=運動NG」ではない】
椎間板ヘルニアだからといって運動が禁じられるわけではありません。
正しい知識と安全な方法で取り組めば、保存療法として改善や再発予防が可能です。
理学療法士監修のもと、自分に合った運動を取り入れることが回復への近道となります。
【まとめ|今、不安を抱えるあなたへ伝えたいこと】
「ヘルニアと診断されたら、もう運動はできない」と感じる方は少なくありません。
でも、正しい知識と安全な方法、そして一人ひとりに合ったアプローチがあれば、体は確実に変わっていきます。
イレでは、理学療法士の知識をもとに、お一人ずつに寄り添ったサポートを行っています。
「もう治らないかも…」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。
当スタジオ「ヘルスケアスタジオ イレ」は、矢場町駅から徒歩5分・栄駅から徒歩9分にある完全個室のパーソナルピラティススタジオです。
理学療法士監修のもと、姿勢改善や肩こり・腰痛ケア、ボディメイクまで幅広くサポートしています。
名古屋・栄・矢場町エリアでピラティススタジオをお探しの方は、ぜひ一度体験にお越しください。
【📚 あわせて読みたい記事】
▶ 「坐骨神経痛と姿勢の関係を詳しく解説」
▶ 「脊柱管狭窄症でも安心してできるエクササイズ」
【著者情報・監修】
水野豪司(理学療法士 / ピラティスインストラクター)
藤田保健衛生大学卒業、藤田医科大学ばんたね病院勤務を経て、株式会社ILE設立。
病院でのリハビリ臨床を経験した後スタジオでの指導に従事。臨床経験は9年にわたり、これまで1,000名以上の腰痛・椎間板ヘルニア・姿勢不良の改善をサポート。
名古屋・栄「ヘルスケアスタジオ イレ」を運営し、理学療法士としての知識とピラティス指導を組み合わせ、再発予防まで含めたアプローチを提供しています。
✅ 本記事は理学療法士が監修し、最新の研究と臨床経験に基づいて執筆しています。
【参考文献】
- Boden SD, Davis DO, Dina TS, Patronas NJ, Wiesel SW. Abnormal magnetic-resonance scans of the lumbar spine in asymptomatic subjects. J Bone Joint Surg Am. 1990;72(3):403–408.
- Jarvik JG, Deyo RA. Diagnostic evaluation of low back pain with emphasis on imaging. Radiology. 2010;254(3):787–802.
- Stefanakis M, et al. The intervertebral disc as a source of pain. Pain Physician. 2014;17(4):E575–E586.
- Rashed S, Vassiliou A, Starup-Hansen J, Tsang K. Predictive factors for spontaneous regression in lumbar disc herniation: a systematic review and meta-analysis. J Neurosurg Spine. 2023;39(4):471–478.
- 厚生労働省『腰痛対策』
- 日本整形外科学会『腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン 2021(改訂第3版)』